所得税法9条を改正して、子育て・保育に係る助成金を非課税にせよ!

こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

財政金融委でのデビュー戦が無事に(?)、終了しました。

テレビでよく見ていた「麻生節」、じっさいに自分が食らってみるとズシリと重いものがありました…。

というか、麻生さんとがっつり論戦するためには時間をもっと残しておかないと無理だ!(切実)

質問部分の動画は「ブイログ」にも切り出して掲載してあります。暗号資産(仮想通貨)を取り扱った部分は早速、業界サイトのニュースにもなりました。

●音喜多議員、麻生大臣に「円建てステーブルコイン」の重要性について質疑
https://coinpost.jp/?p=116536
●麻生大臣「ステーブルコインは金融分野におけるイノベーションの可能性」【ニュース】
https://jp.cointelegraph.com/news/aso-comments-stable-coin-would-be-innovation-in-financial-sector

暗号資産の件はまた私の言葉でも取り上げるとしまして、本日のブログではもう一つのテーマ「所得税法改正」について述べたいと思います。

現在の我が国の法体系では、地方自治体などが子育て・保育関係で住民に助成金を出す場合、なんとその助成金が「雑所得」として扱われ、課税されてしまうということが判明しました。

きっかけは、私も都議時代に推し進めてきた東京都が独自に始めたベビーシッター助成です。

ベビーシッター利用支援事業
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/smph/kodomo/hoiku/bs/riyoukentou.html

保育所に通えない都民のために、ベビーシッター代を利用者に直接給付する。事業者ではなく利用者に給付という点が画期的であり、市場原理を活かしながら利用者は幅広い選択肢が持てることになります。

ところが、この利用者側に給付する(助成金を出す)と、なんとそれは所得扱いになって課税されるわけですね。

これは私をはじめ多くの都議たちも正直、気づいていなかった盲点であり、利用者がネットで声を上げたことで周知されました。

参考:東京都のベビーシッター利用支援事業はちょっとアリエナイ
https://www.q-p.work/entry/2019/09/15/234616

例えば、このベビーシッター助成をフルに使うと年間300万円くらいの助成が受けられるのですが、年収400万円の方が利用すると年収が700万円と見なされるということになります。

実際はベビーシッター代に使っているだけで、所得が増えたわけでもなんでもないのに、この場合なんと所得税が35万円も増額されることになります(※世帯所得400万円、子供二人の家庭を想定して試算)。

年収が400万円で35万円も課税が増えたら、これはもう死活問題です。

明らかにこれは制度的な欠陥ですので、現職都議とも意見交換して調査を進めていったところ、

藤井あきら🗻デジタル・スタートアップ議員👩‍💻東京都議会議員(町田市選挙区) (@FujiiAkiraTOKYO) on X
こちら都に確認しました。結論から言うと国の税制の問題です。 事前に税務署に確認したところ、「所得税がかかる」と言うことになっているそうです。他に同様の事例がありで追加の調査をしています。 都から国へは税制措置の要望も上げています。 国会議員の先生方にご助力頂きたいところです。

これは国の所得税法を変えなければどうにもならないということがわかりました。

所得税法は第9条において、課税がされない例外規定を設けています。学費関係や障害者給付などについては、この規定に基づいて課税が免除されています。

ところが、一般通年としてはもはや学費等と同じくらい重要であろう、保育費用については定めが特にありません

これは我が国では、保育は基本的に家庭がそれぞれの責任でやるものであったことに加えて、助成をする対象も利用者ではなく事業者が中心だったことも理由だと思われます。

その後、平成23年に成立した子ども子育て支援法などにおいて、「保育にかかる費用は非課税とする」などの文言が入りましたが、これは子ども子育て支援法の範囲内で行なわれる事業にしか適用されず、地方自治体が行う施策は対象外となっています。

これではせっかく東京都のように、独自に保育に関して利用者支援政策を打ち出そうとしても、課税対象となることが自治体にとっても利用者にとっても大きな足かせになってしまいます。

福祉事業は地方自治体が主たる実施主体でありながら、そこが利用者給付すると課税対象になってしまう。

この矛盾を解消するもっともシンプルな方法は、所得税法9条の「課税対象としない」例外規定に、保育・子育て関係も加えることです。

というわけで、こうした提案を財務省および麻生大臣に直接ぶつけたのが今回の質問です。

麻生大臣からは

「東京都はお金があるからそういうことができるんだろう?ああん?」(要旨)

という麻生節による威圧があったものの(苦笑)、まずは状況把握のために調査を行うとの前向きな見解も示されました。

確かに利用者への直接助成を行っている自治体は、現時点では多くないかもしれませんが、子育て支援を強化しようとすれば今後は大いに増えていくべき政策オプションです。

地方自治体が行う直接施策に国が課税をしないというスタンスは、地方分権の理念にも叶うと思います。

国として「子育てにかかるお金には課税しない、子育てに負担を増やさない」という姿勢を強く示していただくためにも、調査・検討を速やかに行っていただき、法改正までたどり着くよう引き続き後押しをしていきます。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会、地域政党あたらしい党代表)のブログ2019年11月7日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。