金融資産だけでアセットアロケーションする時代は終わった

株式・債券・REITにバランス良く分散する「3倍3分法ファンド」がコロナショックで急落したと日本経済新聞が報じています(図表も同紙から)

このファンドは、株式に20%、REIT13.3%、債券66.7%という固定配分にした上で、先物を使ってレバレッジを3倍かけています。その結果、株式60%、REIT40%、債券200%というリスクになります。レバレッジで高いリターンが実現し、投資対象が分散されているから安心というのがアピールポイントでした。信託報酬が年0.484%(税込み)とバランス型ファンドの中では、良心的な設定となっています。

しかし、コロナショックによって、基準価格は2月21日から3月19日の1ヵ月で37.1%下落してしまいました。図表を見るとわかるように、これは日本株やアメリカ株の下落よりも大きな「暴落」です。

従来逆相関があるとされていた「株と債券」が同じ方向に動いたこと、リスクが比較的低いと考えられていたREITが株式以上に急落したこと、そしてアセットアロケーションを固定したこと。この3つの要因が、ファンド急落の要因です。

良心的なバランス型投資信託の急落は、ファンドの設計に問題があったことが原因ではありません。金融資産だけで分散投資を行うことの限界を示しているのです。金融機関は実物資産を取り扱うことができませんから、投資対象は金融資産だけ。だから、個人投資家がその壁を自分で突破しなければなりません。

今後、実物資産への投資の重要性がより高まっていくと思いますが、具体的にどうやってリスクコントロールをしていけば良いのか。その方法を資産設計実践会でお伝えしています。ご興味ある方は、こちらのページから、セミナー&説明会にお申込みください。

「まだ金融資産の運用で消耗してるの?」という時代がもうすぐやってきます。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年4月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。