コロナ倒産:どこまで深刻化するのか?!

やはり、コロナ倒産が増えているようですね。
車で移動中も、歩いているときも街を観察するようにしていますけれども、あちこちでテナント募集という張り紙が増えてきました。そういう意味では、店舗の撤退というのも相次いでいるようです。

コロナ倒産は9月11日の段階で、全国で474件に達し、コロナ関連以外も含めた全倒産件数は今年、6年ぶりに9千件を突破する恐れがあるそうです。では、どの業種が多いのか皆さん、ぱっと考えて浮かぶでしょう。やはり、予想通りで、飲食業、宿泊業、アパレルなどがベスト3になっています。

2020年の「飲食業」倒産は、1-8月累計で583件(前年同期比13.2%増)で、年間最多だったのは平成23年の800件。これから先を考えると、どうも今年は年間最多になるのではないかと考えられます。直接的な原因は何かといえば、外国人観光客の減少と日本人の外出自粛、そして営業時間短縮が主な要因です。

週刊ダイヤモンド9月19日号『都市新序列 名門企業・地方財界・自治体265』の記事によれば、共通しているのは、日銭商売で固定費が高いということなんだそうです。例えばホテル・旅館は70%、飲食は62.1%、アパレルは44.2%(出所:帝国データバンク「全国企業財務諸表分析統計」)ということになっています。仕入れなどで調整することが難しいということなんでしょうね。また、この飲食や宿泊、アパレルへの依存度が高い地域はどこかという興味深い調査もあり、依存度が最も高い都市は大分県別府市なのです。例えばヨーロッパなんかでもスペインのように観光に依存している国は、経済の落ち込みも激しくなっていますから、そうした地域は日本の中でも要注意ということになります。

今から12年前のリーマンショックの時はそごうやマイカル、東京生命などの大企業の倒産が目立ちました。世界の金融危機に巻き込まれたという形でしたけれども、今回は中小企業、零細企業が目立ちます。今回のコロナによる倒産で今のところ聞いてる大手は、アパレルのレナウンぐらいですよね。実際に資本金1000万円未満の会社で負債1億円未満の規模の倒産が多く、これらは小企業や零細企業で9割を占めています。

また、倒産ではなく廃業を選択している会社も多くなっています。
高知県須崎市にあるタクシー会社3社すべてが、11月末での廃業を決めたため、須崎市のタクシー会社がゼロになってしまう危機を迎えました。須崎市は人口が約2万1000人ですが、バスがバンバン走っているエリアでは当然ないわけで、タクシーがなくなれば、移動が極めて不便になってしまいます。そこで、地元の商工会議所が設立した新タクシー会社が、この3社のタクシーを引き継いでいくということになったそうです。

今年1年で廃業や解散になる中小企業は、初めて5万社を超えることになりそうだということです。政府による雇用調整助成金や給付金また、様々な制度融資などによって何とかもっている会社も多いので、これら政府の支援がなくなてしまうともっと深刻になりそうです。

新型コロナは世界的な大打撃とはいえ、菅新政権の今後の政策がやはり十分になります。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年9月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。