世界の人たちは日本人のように考えていない:『世界のニュースを日本人は何も知らない3』

アゴラブックレビュー

めいろまさんこと谷本真由美さんの人気シリーズの第三弾である「世界のニュースを日本人は何も知らない3」を読むと、今回もわたしのような内向きの日本人の目を開かせてくれます。日本人は、実際のところがわからないので「海外はもっと進んでいるはずだ」と勝手に思いこんでいるという指摘は説得力があります。

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世界の人たちは、日本人が思っている以上に杜撰ですし、オリンピックなどに興味はないですし、その国民性は非常識です。一方で、日本文化はとても人気がありますが、日本人が思っているような理由からではないようです。

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世界のさまざまな報道・ニュースから、世界(おもに欧州)に対するイメージや、日本に対するイメージも、われわれの勝手な思い込みだということを知ることができます。

ほんのわずかですが、いくつか紹介したいと思います。

欧州はエコ大国という欺瞞

さっそく、欧州はエコ大国という欺瞞を暴き出します。エリートも一般国民もかなりいい加減なようです。

気候変動の予測はかなりの確率で外れています。ヨーロッパの環境に対する取り組みを実生活の中で眺めてみると、気候変動の予測の多くが相当適当である理由がなんとなくわかります。日本では、ヨーロッパの国々がエコロジー大国だと言い張る 有識者がかなりいるのですが、これは大ウソ! 実は欧州の環境対策は進んでいるどころか、いい加減もいいところなのです。

日本ほど熱心にリサイクルをやっている国はなく、リサイクル技術では世界の最先端なのだそうです。たしかに、欧州の街を歩くと、そんなに衛生的ではありませんね。

わたしたちは海外の情報の表面的な部分しか知ろうとぜず、じぶんたちの勝手なイメージを海外、とくに欧州に投影してしまっています。

ただしイギリス人の自己防衛は見習いたい

イギリスは、家庭内の家電やトイレ、洗面所などいろいろなものが“日本の昭和”で止まっているそうです。イギリスは最先端の金融街を擁する先進国で、優雅な貴族の国というイメージがあるのでその実際とのギャップには驚きます。

日本人のように、高度に電子化された環境で電気に頼りきっていると、電気の供給が止まったり機械が故障したりすると、エアコンや、水道も使えなくなってしまいます。イギリスでは電子化やシステム化がされていないものだらけだというのですが、それが逆にいいことのように思えてきました。

イギリス人は普段から疑り深いところがあって、電力会社やガス会社を信用していません。災害が少ないイギリスでも、電気やガスがなくてもなんとか生活できるような態勢を整えています。イギリスをはじめヨーロッパは日本に比べると電気やガス会社の仕事もかなり雑なので停電も頻繁で、間違ったパイプの工事をしてガスが出なくなるといったこともめずらしくありません。

われわれ日本人は、他人や企業を信用しすぎて甘えすぎなところがある気がします。日本のサービスは今のところ至れり尽くせりですが、働く側からするとかなりの苦行です。

今年の冬の日本の電力供給はかなりひっ迫するらしいので、こういったイギリス人のサバイバル意識は見習いたいところです。

日本でDXが進みにくい理由

AIやビッグデータ、通信環境の向上、スマートフォンやタブレットなど、ビジネスのプロセスの大幅な見直しの必要に迫られていますが、その傾向に日本人はまったくついていけていません。その理由は日本人が思っている以上に根本的な問題をはらんでいるようです。

さて私が驚かされるのは、日本でいまさら「DXをやりましょう!」ということが話題になっている件です。ヨーロッパではそんな概念的な話はとっくの昔に終わっていて、 今は何を実践し、より効率的に収益性を高めるかが課題になっています。

めいろまさんに言わせると、日本人は効率化や付加価値の増加という動機が薄いそうです。DXというと、技術やトレンドの話になってしまいますが、日本のDX化を阻害しているものはもっとずっと根源的なものなのです。

情報の読み方を日本人は知らない

日本人をだますのは簡単です。 日本では学校で情報の読み方を体系的に教えていません。だから日本人は、自分が目 にした情報の裏をよく考えずに信じ込んでしまう人が多いのです。

欧米では他人のことは基本的に信用しないのが当たり前で、だまされるほうが悪いという感覚が根づいているそうです。

そして実際はどうなのかわからないので、わたしたちは「海外はもっと進んでいるはずだ」「かなり真面目にやっているはずだ」と勝手に思いこんで、あらぬ方向の努力を熱心につづけてしまうのです。

まずは今からでも英語を

めいろまさんが教えてくれるような豊かな情報を得るには、今からでも英語を一生懸命勉強することを勧めています。中高生や大学生は、英会話ではなく、英語をきちんと読んで書けるようにすることです。

身もふたもないことですが、学校の英語の勉強をもっとしっかりとやらねばなりません。さいきんの学校の英語の先生は帰国子女の人も増えてきましたが、まだまだ脆弱です。教科書や参考書、ネットの教材などを活用して、じぶんでなんとかするしかありません。

なにより大切なのは、情報化社会において重要なのは英語を話すことではなく、英語という言語で提供される文字情報から自分が求めるものを読みとることであることを忘れないでください。

世界で騙されて恥をかかないように、勉強はしつづけましょう。めいろまさんは日本の行く末をほんとうに心配しています。