SATC最新作は営業妨害?華麗なるペロトンの逆襲

セックス・アンド・ザ・シティと言えば、1998年から2004年にかけ放送され、全米だけでなく世界中の女性を魅了した連続テレビドラマです。一世を風靡した余波から、ドラマ終了後も2008年と2010年の2回にわたり映画が製作されました。そして、2021年12月9日からは、ファン待望の最新作「And Just Like That…」の配信をHBO Maxで開始しています。

画像:2010年公開のパート2、筆者は試写会に招待されて鑑賞。数少ないファビュラスな思い出のひとつです。

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(出所:My Big Apple NY)

しかし、幸先の良いスタートを迎えたとは言えません。20年以上の時を経て、主要キャラクターの1人を演じるクリスティン・デービスは「髪やら肌やら、出演者のルックスに集中砲火する批判にウンザリ」と辟易していたように、幸先の良いスタートとは言えない状況です。

批評家からも、辛口コメントが相次いでいます。ドラマの舞台、ニューヨーク・タイムズ紙は「そんな感じで、全てが失敗に終わった(Review: ‘And Just Like That,’ It All Went Wrong)」などと、タイトルに掛けてけんもほろろです。西海岸のロサンゼルス・タイムズ紙も、そのものズバリ「どれほどSATCの最新版が悲惨だったか、判断してみた(How terrible is the ‘Sex and the City’ reboot? We duke it out)」ですから、目も当てられませんね。

また、こんなところからもクレームが届きました・・・フィットネス業界にDXを持ち込んだペロトン・インタラクティブです。なんと、ドラマで主人公の夫が同社製のエアロバイクで心臓発作で死亡してしまったのでうすよ。お陰で、経済活動再開の余波を受けて下落していた株価は一段安となり、放映開始の週は12%も下落。ペロトン陣営は「(食生活など栄養価に配慮しない)贅沢なライフスタイルが死因では」と怒り心頭のコメントを寄せたものです。

しかし、単に抗議声明を発表しただけでありません。そこはアメリカン・ジョークよろしく、ペロトンでワークアウト中に死亡した夫役の俳優、クリス・ノスを使ったCMで逆襲したのです。甘いムードたっぷりのクリスマスツリーと暖炉の傍で女性の頬に触れながら、俳優クリス・ノスが艶っぽいバリトン・ボイスでこう囁きます「もう一度しようか?人生は短いんだから(Shall we take another ride? Life’s too short not to)」。

画像:ペロトンがクリス・ノスを起用した逆襲のCM

(出所:Peloton/Twitter)

締めくくりに、デッドプールやピカチュウ役で有名な人気俳優ライアン・レイノルズによる「そんな感じで、サイクリングは心臓や肺、循環器系を刺激し、循環器系疾患のリスクを低減します」とペロトンの効能をアピールして、ジ・エンド。鍛え抜かれた身体で有名なライアンをチョイスするところが、笑いを誘います。

どうせ相手方にクレームするなら、ウィットとユーモア満載で対応した方が印象も違いますよね。And Just Like That、そんな感じで株価が戻るとは限らないでしょうが・・・。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2021年12月14日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。