戦争が展開中で、金利が上がり、原油価格はとどまるところ知らず、という状況の中、投資家はこれにどう立ち向かうのか、考えてみたいと思います。
投資は大局を見ることと人より先にその埋もれた可能性を見出すこと、これができるに越したことはありません。これを一歩間違えると「落ちてくるナイフはつかむな」という株式格言の通り、怪我をしてしまうこともあります。
私はこのブログで1年ぐらい前から呟いてきたことがあります。アメリカ株は魅力なし、カナダ株は大変魅力的、鉄や鉄鉱石、銅は足りなくなるとしばしば申し上げてきました。ビットコインなど暗号資産は「資産」であって「通貨」ではないのでそれに価値を見出す人が相場を作る、よってビットコインなら10万ドルにもなるし1000ドルにもなりえるが、採掘コストがあるので現状の価格を大きく下回ることはないだろうと申し上げました。喧嘩するロシアとウクライナの共通項は「両国とも暗号資産はお好き」です。
金についても半年ぐらい前に買いと述べさせて頂きました。理由は投資家の目が全く向いておらず、方向感を失っている中、利上げ局面では買いにくいという定石があるからです。しかし、インフレに強い金は利上げ幅よりインフレ率が高い限りにおいて買える理由となるし、短期的には戦争など不安定な世の中になれば安全資産としての輝きも増す、とも申し上げました。
では、日本の株式はどうでしょうか? チャート的には21年9月に日経平均で3万円を越え、いびつな形ですがダブルトップを形成します。時を同じくして、岸田政権が発足しますが、着実に高度を下げ現在、26000円台前半というのが実情です。その間の下げ幅は約13%、新興市場も売られ、ジャスダック市場は9月から約15%、マザーズにおいては40%超の下げを記録しました。多くの個別銘柄も業績とリンクしないほどの安値に落ち込む銘柄が続出し、過度の売られ過ぎ反応が出ていました。
問題はここからです。この後、世界の株式市場はどう反応するのでしょうか?
まず、金利についてはある程度の利上げは既に市場では織り込んでいます。例えばカナダは今日、3年5か月ぶりの利上げをしましたが、代表的指数のTSXは本日、1.2%の大幅上昇となっています。アメリカも3月16日に利上げを100%行うはずです。その際、フォワードガイダンスなる未来予想をするのですが、パウエル議長が本日の下院議会証言で戦争で読めない要因があるというハト派的発言をしていています。私は本心はそこになく、それを理由に利上げ幅を0.25%に抑え込むのだと理解しています。
アメリカの場合、株式市場がオーバーヒートしていたことは事実です。私がアメリカ株は魅力がないと何度か申し上げた頃から今日に至るまで一進一退です。特定銘柄を別にすれば容易く大きく儲けられている人は少ないと思います。ではなぜ、その頃、なぜカナダの株式は上がると申し上げたのか、といえば構成銘柄に資源関連が多く、資源の高騰は既定路線だったからです。
残念ながら日本には存在しない資源関連の幅広い業種の銘柄がカナダの株式市場には数多く上場しています。東京市場は上場銘柄の数は多いけれど銘柄のバラエティさで魅力が足りないのです。つまり、マネーの潮流という大局を見た時、どこが良いのか、世界を見渡たすことが大事なのです。その点では地球レベルで見ると東京市場は「日本銘柄」という一業種に過ぎないというのが私の見方で、たぶん、世界の主要トレーダーもそう見ているはずです。日本銘柄群に市場の奥行きがないともいえます。
今後の予想はあくまでも私見として一言だけ述べます。戦争はいつかは終わるでしょう。その時、何が起きるか、といえば戦後復興です。そこで膨大な資源の需要が生まれます。資源は資源相場が存在するため、供給源に関わりなく、一様に上がるとみています。となれば、ハイテクは劣後せざるを得ないと思います。
では日本株はだめなのか、といえばこちらも光明が差してきたとみています。現在は地政学的にアジア株は絶対に有利です。欧州は戦禍と隣り合わせであることを考えると扱いにくい中、アジアは中国を含め比較的無傷です。ゴールドマンサックスなど専門家が中国株は底打ちと考えているのはバリュエーション的にどう見てもバーゲンなのです。
日本株の弱点は世界に響くニュース性があまりにも少なくなった点でしょうか? 日本の経済ニュースを見ていても独自開発したものを水平展開して世界レベルで成長している企業や大型のM&Aがとても少ないのです。企業は利益は出しているけれど目新しさがない、これが残念なところでしょうか?
「株は買いなのか」、というお題に対して「お値打ち株を探せ」というのが答えだと思います。下げ過ぎ銘柄、復興関連銘柄を地球儀ベースで探し、じっくり仕込む、という姿勢が正解だと思っています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年3月3日の記事より転載させていただきました。