子どもが勉強熱心になる家庭環境

「人間は同類と同じ行動をする傾向がある」というのは、心理学上の「社会的証明の理論」だ。

周囲の人たちがフォーマルな服装をしている場所で、自分だけラフな服装でいるバツが悪いのと同じだ。

もっと危険なケースだと、誰かが路上に倒れていても他の人たちが無視して通り過ぎていくと自分も無視して通り過ぎていくというものだ。

助けて貰いたい立場になったら周囲の全員に「助けて下さい」というより、特定の人に対して「あなた、助けて下さい」と言った方が助かる確率がグンとあがるそうだ。

「社会的証明の理論」は勉強でも役に立つ。

拙著「すぐに結果を出せるすごい集中力」で書いたように、自室で一人だけ勉強しているよりも周囲のみんなが勉強に取り組んでいる図書館や自習室で勉強した方がはかどる。

また、友人たちという同類が勉強熱心だと自分も勉強するようになる。

物理的環境や人的環境の助けを借りれば、精神力を振り絞らなくとも勉強に取り組むことができる。

逆に、周囲が勉強していない環境や勉強をまったくしない友だち関係をつくってしまうと、自分も勉強しなくなってしまう。

これは子どもを勉強させようとしている時にも当てはまる。

「勉強しろ!」と子どもに命じておきながら、親がテレビを観て笑っていたのでは子どものやる気が失われる。

親がまったく読書をしないのに、子どもに「本を読め」と命じるのと同じだ。

大人と子どもは同類ではないという反論があるかもしれないが、同じ家庭内のスペースで過ごしているという点では同類だ。

子どもが勉強している間は、親も勉強しよう(フリでもいいから)。

お笑い番組は子どもが塾に行っている時に存分に楽しめばいい。

親が一緒に勉強する環境こそ、受験生にとって最高の家庭環境だ。

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編集部より:この記事は弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2022年9月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。