黒坂岳央です。
挑発的なタイトルを付けてしまったが、筆者はAmazonのレビューを読むのが好きである。何気ない商品にその人の人生論や哲学を綴った文学作品のようなものもあり、たまに吸い込まれるような引力を感じるレビュワーもいる。特に映画やゲームのレビューは読んでいるだけで飛ぶように時間が過ぎてしまう。読み物としては最高だ。
だが、過去記事にも書いたように買い物をする時はレビューを過信せず、あえて意識的に見ないで買い物をする。いやAmazonに限らず、レビューは販売元に操作されている事が少なくないし、感情的かつ扇動的なレビューを見ると変にバイアスを受けてしまうので購買行動を間違わせる可能性があるためだ。
Amazonは何も悪くないし、不信感はない。だが不信感があるレビュワーや販売元は存在する。だからむしろ、Amazonは被害者だと思うのだ。先日、その考えを強固にする体験があったので取り上げたい。
レビューは操作されている
先日、Amazonでストレージを買った。自分はレビューは見ないが、販売元が出している情報はしっかりチェックする。ストレージなので転送速度や保証、信頼性を確認した。件の製品は信頼のおける認証を受けているとPRされており、カタログ値のスペックも申し分なかったので即買いした。
だが、購入してみるとおかしい。USB3.0にしてはデータ転送が明らかに遅い。デバイスをいくつも変えて試したがすべて異常なほど遅い。データ転送を計測するソフトを使って計測するとカタログ値の10分の1も出ていない。おまけに動画を転送してスマホで再生すると音が出ないものが半分くらいある。同じような長さ、同じ動画形式、コーデックなどの値も揃えているのにあまりに不安定すぎる。
販売元にデータを送って問い合わせをしたらすぐに回答が来た。回答の早さは信頼に足る。だがここからが変だ。不自然に感じた点を取り上げたい。
・返品交換ではなく、返金のみ。
・預かり修理や点検はしないので手元の不良品は処分してほしい。
・Amazonを通さず直接口座返金し、Amazonへレビューの投稿もしないように。
これまで日本企業や米国、欧州企業製品で不具合が出た時は、まず預からせてほしいと言われて製品を郵送し、初期不良の有無などの回答が来て交換や返金対応へとエスカレーションされるのが普通だった。
このカスタマーサポートセンターに問い合わせる段階で、自分が買ったのは中国製と気づいた。ビジネスオペレーションの効率化のために、わざわざ1つずつチェックしないだけかもしれないが、それにしてもカタログ値とは程遠い値が出ているのにちゃんと確認しなくていいのだろうか?もしかしたらこの製品は他もそうではないのか?このように余計な不信感を持ってしまう人もいるだろう。
悪いレビューがないと逆に不信感
もはや、慣れているAmazonユーザーからすると当たり前の行動だが、Amazonのレビューは星5つではなく、星1つを熱心に見る人が多いようだ。なぜなら星5つのレビューは「星5でレビューしてくれたら2000円分のギフト券をプレゼント!」などと買われたレビューである可能性を疑っているからだ(これは禁止されている)。
多くの場合、星1つには本音が書かれており、もちろん感情的に怒って情緒的なあまり信用に足るものではないものもある一方で、販売元の返金オファーを断って「自分は返金よりも、この問題は公共に広げる選択をしたい」と書き込む人もいる(実際、筆者が買った商品レビューの星1つにはそう書いてあった)。
もはや悪いレビューがほとんどなく、星5つしかない商品サービスの方が「怪しい」と感じてしまう人もいるだろう。Amazon側でも企業努力でサクラレビューやレビューの買い取りを禁止するなど頑張っている。だが、こそこそやられるとどうやっても防ぎきれない。おすすめ商品を宣伝するインフルエンサーもあくまでプロモーションやステマ(10月に対策されたが)でやっている場合もあり、忖度なしの意見ではないものは信用できないだろう。
◇
レビューもインフルエンサーも正確な評価にはなりづらい。では一体、誰を信用すればいいのか?ということになってしまう。結論的には自分自身で買い物の眼力を鍛えるしかない。少なくともその方が不誠実なレビュワーや販売元のバイアスを受けずに済む。
正直いってどんな買い物にもリスクはつきまとう。エレクトロニクス製品でも初期不良があったり、初期ロットに問題があったりで完全ではない。だが、そのための製品保証なのだ。自分自身の判断で買ってみて、違ったらその時に販売元に交渉していくしかないだろう。
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