起業は海外でするほうが成功する --- 岡本 裕明

アゴラ編集部

日本では起業しても成功率は一年目で2割、5年となると更にその数分の一以下とも言われています。起業するには元手も要りますし相当の苦労もするのにそこまで低い成功率ならば誰もやりたくないのはわかる気がします。

日本で起業の成功率が低い理由はたくさんあるかと思いますが私が注目しているのは「アイディアを取られる」「同業者に真似される」ではないかと思います。そしてその結果は資本の力がモノを言うことになっています。金を持っている会社が一般には強いのです。いわゆる体力勝負。


真似される可能性が高いのは日本国内のみならずアジアの国全般にあると思います。それは文化的にも社会的にも宗教観からも近いものがあり、ニューアイディアを受け入れやすいのだと思います。

ではアジア以外の国で起業したらどうでしょうか?私は意外と真似されにくいと思います。例えば飲食店。ここ、バンクーバーでラーメン屋を起業したとして、白人が真似するリスクは相当低いでしょう。また、中国人が真似するかといえば中国の麺やスープの文化が日本のラーメンとはまるで違いますのでそう簡単に出来ません。

当地で日本人と中国人が共同でやっているラーメン店がありますが、結果として個人的には酷いものになってしまったと思っています。理由は双方が「いいとこ取り」したつもりが「悪いとこ取り」になってしまい、品質もサービスも愕然とするものになってしまったのです。

話を戻しましょう。起業は通常、小資本でわずかなクライアント数から徐々に大きくなっていくもの。その過程の中でビジネスの「取引歴」にこだわるのが日本です。「お宅とは取引関係がないのでそう簡単にはなかなか…」といわれることも多いと思います。品質に対するリライアビリティや保証、安定供給、トラブル対応など事前に要求されるハードルが一流企業並みで新規参入者にはとてもそこまでは到達できないというのが本音ではないでしょうか?これは購買担当者からすれば「事なかれ主義」が絶対的な意味を持つからであります。

北米の場合、ニッチマーケットは非常に多いと思います。ある意味、こちらの人は大雑把で隙間だらけですからその隙間を埋めるのが得意な日本人などアジア人が活躍する場は多いと思います。つまり、北米ならば日本人と白人はウィンーウィンの関係が築きやすい上にモノマネされるリスクも少ないということです。

もう一つは起業者に対して暖かい声援があるのも事実です。特にカナダよりもアメリカのほうがその辺は寛大なのではないでしょうか?もちろん、だからといって甘えてよいわけではありませんが、チャレンジャーとして努力すれば実りが期待しやすい土壌にあると思います。

また、日本では一度の失敗は永遠の失敗。アメリカでは昨日の失敗は明日の成功という精神面の支えも違います。

日本は規制と過去の流れを踏襲しすぎて新しいことへのチャレンジに余りにも大きなハードルがありすぎる気がいたします。起業を考えている方にとって私は海外は言語や社会、文化など越えなくてはいけないものがありますが、それをうまくこなせるのなら海外でのビジネス展開は可能性が大きいのではないかと考えています。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年4月20日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。