「ひやっしー」と村木風海氏は現時点での日本の科学技術力の象徴か?

化学者を自称するホリプロ所属の日本のタレント、起業家、発明家である村木風海(かずみ)さんによる「ひやっしー」が政府やマスメディアに大々的に取り上げられ、日本の科学技術もいよいよここまできたかと理系の研究者や理系の知識がある人たちからため息が上がっています。

ひやっしーの説明 CRRA一般社団法人炭素回収技術研究機構HPより

「ひやっしー」は、部屋の中の二酸化炭素を減らして快適にする装置ということですが、実際には部屋の外により多くの二酸化炭素を排出してしまいます。これにより、自分の部屋は快適になりますが、地球全体では二酸化炭素が増え、温暖化や環境問題の解決にはならなりません。

参照:「ひやっしー」に研究者はどう対応すべきか 名城大学理工学部 応用化学科 永田研究室

村木さんは高校2年の時に、総務省が推進するプログラムに採択され、空気中の二酸化炭素(CO2)を回収する技術の研究開発の支援を受けました。2019年に東京大学に推薦入学し、2023年3月に中途退学していました。

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2021年には内閣府のムーンショットアンバサダーというものに任命され、国の研究推進事業の広報役を務めました。また、2023年には文部科学省の「核融合の挑戦的な研究の支援の在り方に関する検討会」の委員に就任しました。もちろんメディアにも頻繁に取り上げられています。

2020年には炭素回収技術研究機構を設立し、CO2を回収すると謳う「ひやっしー」のサブスクリプションサービスを開始しましたが、荒唐無稽な研究で、専門家から「逆にCO2の発生量を追加で増やすだけ」「環境問題にまったく寄与しない」と批判の声が上がっています。

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参照:CO2回収サブスク賛否 手がける村木風海さんの主張と専門家の批判 朝日新聞

政府や行政が率先して科学的営為を逸脱している状況にどう対応すればいいのでしょうか。

参照:「ひやっしー」に研究者はどう対応すべきか 名城大学理工学部 応用化学科 永田研究室

名城大学理工学部応用化学科 永田研究室 | ブログ「天白で有機化学やってます。」: 「ひやっしー」に研究者はどう対応すべきか

周りに注意してくれる大人はいないのでしょうか。

取り上げる人たちにも問題があります。しかしこういったビジネスは後戻りできない地点まで来ているのかもしれません。

村木さんの生きざまを推薦図書に取り上げる教育委員会も現れています。

それとも村木さんの登場は世界的な趨勢なのでしょうか。

原発再稼働拒否の行きついた先が「冷蔵庫の扉を開けっぱなしにする」では、「科学技術立国」と言葉にするのも恥ずかしくなってくるような今日この頃です。

世界に「ひやっしー」をPRする村木風海氏 首相官邸YouTubeより