国益のために防衛省は川崎重工を調達から排除せよ

川崎重工は上場企業にあるまじきガバナンスの欠如した企業で、社会的な責任を果たそうとする気はありません。防衛部門も単に防衛省にたかって税金チューチューして生きながらえようとし、防衛費を無駄にしている寄生虫です。つまりは国防の敵です。

防衛省は川崎重工からの調達を全面的に排除すべきです。

川重、成長期待に冷や水 潜水艦や鉄道…不祥事連鎖 企業統治の改善急務 日経新聞

川崎重工業が企業統治(ガバナンス)問題に揺れている。6日、海上自衛隊の潜水艦乗組員への金品供与が明らかになって初の決算説明会で謝罪した。鉄道車両など過去にも不祥事を重ねた。国の防衛費増額という追い風が吹く中での不祥事は成長期待に水を差しかねない。

川崎重工は潜水艦修理の取引先企業との架空取引で裏金を捻出し、潜水艦乗組員らに物品代や飲食代を負担した疑いがある。現在、弁護士らで構成する特別調査委員会で調査を進めている。

過去には新幹線台車に亀裂が生じた問題や子会社の空調システム向け機器の検査成績虚偽報告といった不祥事が判明。JPモルガン証券の佐野友彦氏は「組織の上部に知られない形で続けていたことが問題。昔から脈々とある慣習をどう見つけて、風通しをよくできるかが重要」と指摘する。

カワサキモータース(兵庫県明石市)でも社内調査が進められている。ダイハツ工業などの不正を受け、国交省は自動車メーカーなどに対して内部調査を求めた。対象の85社のうち、カワサキモータースだけ全容が見えていない。

防衛費の増額を背景に同社の成長に期待を寄せる投資家は多い。防衛事業の売上収益は31年3月期に5000億~7000億円と23年3月期と比べ2倍以上に伸びると見込む。金品供与の疑いが公表された翌日の7月4日の川重株の終値は前日比473円安の5978円まで下落した。

殆どの株屋のIR担当者含めて投資家は防衛産業の構造も仕組みも知りません。単に防衛費が大幅に増えたから儲かるだろう、ぐらいですよ。まともな人間が豊和工業の株を防衛費が増えるからとか言って買ったりしません。

一方、JPモルガン証券の佐野氏は「影響は軽微にとどまる」とみる。川崎重工によると裏金づくりはあったが防衛省への過大請求は確認されていない。防衛省からの指名停止がない限りリスクは少ないとみられる。

「本件を機に膿を出し切る覚悟でコンプライアンス、ガバナンス体制の再構築に取り組む」。橋本社長は社内の全ての事業を総点検するよう指示した。防衛産業は参入企業が限られ、不正があっても他の企業に発注するのは難しい場合も多い。防衛事業を成長の柱に据えるからには、通常の企業以上に高いコンプライアンス意識とガバナンスの透明性が求められる。

三菱重工がデパートなら川重はショッピングモールです。個々の事業は独立独歩で会社としてガバナスが効きづらい。コンプライアンスも同様です。だから防衛に限らず、同じような不祥事が繰り返し起こります。

海上自衛隊HPより

そして防衛部門では「税金にたかること」が仕事だと思っているので、まともなビジネス感覚が身につかない。技術力を磨き、原価を下げ、品質をあげて市場で戦う必要がないからです。

以前防衛省に陸のUH-X関連で取材をしたときに、想像図は川重からもらってくれと言われて、川重の広報に依頼したら断られました。防衛省のどの部署のどの人間に言われたといっても無視されました。

ぼくがいつも日本のヘリ産業に対して厳しい批判をしているからでしょう。ですが、税金で食っている事業で批判は許さないというのは、上場企業ではあり得ない話です。しかも普段は何を聞いても防衛省に聞いてくれと逃げるくせに、この件に関しては実質的に防衛省から依頼だったのに拒否しました。

その数カ月後、UH-Xに関しては官製談合がバレてスキャンダルとなり、多くのメディアが同社のサイトからの転用でUH-Xの想像図を紹介していたときは、乾いた笑いしかでませんでした。こういう企業を国防にかかわらせては絶対駄目です。

不正があっても他の企業に発注するのは難しい場合も多い。

潜水艦に関しては三菱重工に絞ればいい。調達が無くなれば川重は重工に捨て値で売るしかなくなります。そうすればドックと設計チームを2つ維持しても管理部門は統合されるのでコストの削減が可能です。

エンジンやギアについては外国からの調達に換えればいい。あるいはIHIがテイクオーバーしてもいいでしょう。そうすればタービンエンジン関連の事業統合にもなります。

ヘリもライセンス生産といいつつ、殆ど組み立てだけで2~3倍の調達コストです。しかも国産化することで稼働率や信頼性が落ちている。その端的な例が南極観測用のUH-101です。であればチヌークなんぞ輸入に切り替えれば宜しい。エアバスヘリとの関係も冷えており、というか見捨てられつつありますから、この先川重がヘリメーカーとして発展する可能性は120パーセントなく、単に延々と税金を食いつぶしていくだけです。

C-2やP-1といった大型機も同様です。3割程度の稼働率しかなく、性能の低い、そしてP-8の2倍以上の調達価格のP-1、同じく他国の輸送機の3倍位上の価格のC-2、両機とも維持費は他国の5~7倍以上です。

P-1の調達はやめて今からP-8に変えて、数を絞ってあとは無人機でカバーすればいい。C-2の調達は取りやめて外国製にすればいい。整備は重工が川重傘下の日飛を買い取ってそこでやればいい。何なら稼働機体は最低限に減らして、余剰の機体は部品取りに使えば宜しい。

完成機メーカーとして世界の市場に羽ばたくつもりもまったくなく、これまた防衛予算にたかって甘い汁を吸って生き残ろうとしているだけです。

そして世界に流通網ももっているATVでは全く軍事市場参入をすることも考えていない。軍事の世界でやっていくにはATVが一番ハードルは低いと同社の偉い人にも何度も申し上げております。ですがやるきがないどころか、水陸機動団向けのATVはオスプレイにはいらず、駐屯地の連絡用に使用されているだけ。あとは総火演と災害時のプロパガンだ利用されているだけ。ポラリスのような軍用ATVを作って売る気も能力もない。

会社として世界の軍事市場で戦っていこうという気位もリスクを負う気もない。ひたすら税金を食いつぶして生きながらえようとしている「子供部屋おじさん防衛産業」です。

であれば防衛省が一切川重に発注しなければ同社の防衛航空宇宙部門は他社に買収される、或いは撤退となり防衛産業の統廃合というメリットしかありません。

【本日の市ヶ谷の噂】
他国よりも一桁高くて調達が全く進まない18式防弾ベストの防弾板だが、国産と言いつつ実は欧州製で側だけ四国の工場で縫製してかぶせているだけの「なんちゃって国産」。では、何で他国製品より一桁も高いのかと、疑惑あり、との噂。

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
海上自衛隊の潜水艦メーカーは2社も必要あるか川重の裏金問題で注目される潜水艦の実態

月刊軍事研究8月号に防衛省、自衛隊に航空医学の専門医がいないことを書きました。
軍事研究 2024年 08 月号 

Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2024年8月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。