老化は運動不足から始まる

黒坂岳央です。

人間の肉体と精神は密接に結びついている。体力が落ちると、気力も共に失われるということは誰もが経験済のはずだ。病気で寝込んでいる時に前向きな思考をすることは難しく、傾向として後ろ向きで将来不安に襲われる事が多いだろう。

誰しも、年齢を重ねると肉体の衰えは避けられないが、衰えるに任せる一方ではその影響が精神面にも波及する。そのため、本来は年を取るほど、むしろ積極的に運動をする重要性は高まっていくのに、実際にはこの逆にドンドン運動量は減っていくのが現代人だ。そのまま放置すると最終的に寝たきり老人が出来上がってしまう。

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使わない機能は衰える

人間の体は、使わない機能がどんどん衰えるようにできている。

脳も使わない能力は衰えるし、肉体も同じである。逆にずっと使い続けていれば非常に長期間、能力を維持できるのもまた事実である。経営者は70代に入っても元気で判断能力が衰えない人が多い。その理由は、彼らが現役でずっと働き続けており、能力を使い続けているからだ。

運動不足になると筋肉量が減り、使わない関節をいきなり動かすと痛みを感じることが増えていく。そうなると自然と痛みを避けるためにその部分をかばうようになり、そのせいでますます運動不足が進むという悪循環に陥る。

さらに運動不足は肉体の衰えだけでなく、精神にも大きな影響を与える。体を動かさなくなると、日常的な移動範囲が狭まり、新しい場所や状況に出会う機会が減る。これにより、日々の生活における新しい刺激が少なくなり、脳も精神も衰える。

また、肉体の衰えで気持ちも後ろ向きになれば、人と会っても会話の内容が将来不安などネガティブなことが増えてしまい、相手からの反応も悪くなるので人と会うのが億劫になる。そうなると出かける機会が減るのでさらに衰えるのだ。加えて体力の低下は仕事や学習にも悪影響を及ぼし、脳刺激が低下するので集中力や記憶力が衰えてしまう。

よく、「年を取ると頭が悪くなる」みたいな意見が多いが、その起点は体力の衰えであることが多い。運動不足で体力が衰え、それにより行動が減ったり学習や仕事のパフォーマンスが落ち、使わなくなった脳機能が衰えるので「年を取ると頭が悪くなる」と感じてしまう。つまり、最初の体力の衰えを防止すればこの悪循環を防ぐことができるのだ。

運動をすれば中高年からも若返り効果

筆者は元々、運動嫌いで読書やゲームが好きなインドア派だった。転機が訪れたのはコロナ禍で体重増加したことである。健康診断でも悪い評価を下されてしまい、このままでは本当にまずい!と感じて本格的に運動習慣を取り入れた。現在は毎日、人生で最もたくさん運動をしている。

その結果、体力が増加して長時間の仕事にも耐えられるようになった。また、これまで旅行へ行くと夕方には疲労困憊してへばっていたのだが、運動をやりだして寝る直前まで丸一日、体力がしっかり残って疲れなくなったと感じる。やはり運動を毎日することの効果は計り知れないと肌感覚でわかる。

運動をするとエンドルフィンやセロトニンといった脳内ホルモンが分泌され、気分が前向きになり、ストレスも軽減される。通勤経路をウォーキングしたり、短時間でも筋力トレーニングを継続するだけでも、体と心を活性化させることができるのだ。

誰しも年を取る。実年齢の時計の針を止めることはできないが、運動をすることで肉体年齢の時間の経過を遅くすることは可能だ。我々の肉体は縄文時代から大きく変化しないのに、運動量や食事の内容は大きく変化した。縄文時代ほどは無理でも、毎日少しでも運動を取り入れることが最高のアンチエイジングになる。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。