トランプ米大統領は5月30日、鉄鋼とアルミニウム製品に対する輸入関税を現行の25%から50%に引き上げると発表しました。発動は6月4日を予定しています。
米鉄鋼・アルミ関税2倍の50%に トランプ氏表明、6月4日からhttps://t.co/SDwqJVPhzj
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) May 31, 2025
発表はペンシルベニア州のUSスチール製鉄所での演説で行われ、日本製鉄の森高弘副会長兼副社長も同席しました。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより
トランプ大統領は、関税の引き上げによって米国の鉄鋼産業がより安定すると強調し、25%では他国が対応可能だが、50%になれば対応は困難になると述べました。
関税引き上げは米国産鉄鋼の競争力強化が目的ですが、報復関税の懸念もあります。アメリカの法的にはこの措置は禁じられていないようです。
ピッツバーグで鉄鋼関税を50%に引き上げると宣言するトランプ。1962年通商拡大法232条は既存の調査結果に基づいて既存品目の関税率を引き上げる行為を特に禁止していない。pic.twitter.com/vn0ld3JFvu
— Shen (@shenmacro) May 30, 2025
米国は鉄鋼の約3割を輸入に依存しており、関税引き上げで自国製品のシェアが拡大するかは不透明です。2024年の日本からの鉄鋼輸出額は約3026億円(全体の1.4%)、アルミは約245億円(0.1%)でした。関税で国内価格が上がれば製造業者の利益は増えますが、素材を使う企業の競争力は低下し、米製造業全体に悪影響を与える恐れがあります。
鉄鋼やアルミの米国内の価格を関税で押し上げれば、製造業者のマージンは拡大するだろうが、ユーザーの競争力は大きく落ちる。鉄やアルミは多くの製品の材料だから、米国の製造業全体を没落させる大悪手になりそう。 https://t.co/sahb7eyw4d
— 磯野直之 (@IsonoNaoyuki) May 31, 2025
USスチールを完全子会社化する日本製鐵の対応がますます注目されます。
トランプ政権の鉄鋼関税引き上げは、中国を意識して軍備体制を強める一貫した流れがうかがえます。
鉄は国家なり!日本製鉄が大地の子のモデルになった中国の宝山鋼鉄との合弁解消に踏み切ったのが1年前。そしていま、USスチールとのパートナーシップを強化。時代の流れを感じます。さらにトランプ政権は鉄鋼関税を2倍に引き上げ。日米同盟の中で中国を意識した軍備増強の動きでしょうね。
— 戸田裕大 (@yudai___) May 31, 2025
米国際貿易裁判所は一部の関税政策を差し止めましたが、上級審が執行を一時停止し、鉄鋼関税は対象外とされています。今回の関税引き上げは通商交渉に影響を与える可能性があり、市場では「混乱」とも受け止められています。
引け後、鉄鋼関税25%から50%へ引き上げのヘッドライン。対EU関税50%から取り下げ、相互関税差し止め判決から差し止めの一時停止、もはや不確実性というより「混乱」で、市場もどうリアクションしていいのか分からないくらいなイメージ。ただ0→25に比べ25→50は慣れの分だけ痛みが少ないはず。
— Yuto Haga ⚽️ (@Yuto_Headline) May 31, 2025






