東大新聞の学術会議についてのアンケートが話題に:暴走する人文系と冷静な理系・経済系

東大新聞が実施した日本学術会議の法人化をめぐる東大教員へのアンケートが話題になっています。人文社会系以外の教授は、学術会議をめぐる人文系の過激な主張に呆れている実態が明らかになりました。

東大教員は学術会議の法人化をどう見ているか ③工学系・理学系・数理科学研究科 - 東大新聞オンライン
東大には多くの日本を代表する研究者が存在し、東大教員にも日本学術会議の関係者が存在する。5月に衆議院本会議を

「このままでは売れる学問しか残らない」「政府は学術会議を黙らせたいだけだ」といった感情的な主張が多く、あたかも学術界の総意のように振る舞っているように感じられます。一部の教員が自らの意見を「学者の声」として語る姿勢は一般社会の感覚とはかけ離れています。

一方、人文系ながら経済学研究科の教員による意見は、冷静かつ現実的な視点から学術会議の問題点を指摘しています。

大学院経済学研究科 教授

学術会議は「我が国の科学者の代表機関」などとされていますが、実際は学者の代表でもなく、日本の学術界を代表してもいません。…一部の学術会議の関係者が、学者の代表であるかのような行動や発言を行っているのは迷惑です。

大学院経済学研究科 教授

私自身は6人の任命拒否の際などはぼんやりと問題だなとは感じていたものの、今は反対派の方々の活動の仕方や極端な言動・党派性を見て非常に疑問を感じ始め、このような人たちに勝手に「学術界の意見」を代表されるくらいであれば、政府のコントロールの方がよほどましだと感じるようになった。特に、弊学の一部教員については勝手に「東京大学教職員組合執行部有志」を名乗って勝手に組合の統一見解のように誤認されるような文章を同HPに掲載したり、Youtubeでのアジ演説のようなものを見て、この人たちや学術会議なるものの構成員というのはどういうレジティマシーがあって勝手に学術界を代表されるのか、そもそもこの組織の運営自体が極めて非民主的であり、それがゆえにこのような事態になっていると感じるようになった。米国の民主党左派の極端なDEI推進が逆向きの反動を生んでいるのに近い感じになっていることに近い感じで多くの研究者にある種のアパシーを生み出していると感じる。何故社会科学者(ではないかもしれないですが)であるのにもかからずこのようなことになぜ無自覚であり、党派的に極端な主張を前面に押し出して自分のイデオロギーを前面に出すのか理解に苦しむ。学会・研究者の世界のより多くの人の意見がきちんと集約されなにのであれば、そのような機関の独立性にどのような価値があるのだろうか。

とくに工学系・理学系・数理科学の教員による意見も、現実に即した冷静なものでした。東大内でも学術会議の非科学的な主張への反発はかなり強いようです。

大学院農学生命科学研究科 教授(連携会員)

学術会議自体が機能不全に陥っている現状があり、提言なども無視されているのが現状であると思う。…研究者側が、学術会議が現状のような状況になってしまったことについて、どのような反省に立ってどのような改革をするのかをより強く打ち出すべきでは無いかと思う。

大気海洋研究所 准教授

学術会議が研究環境の改善に明確で具体的な役割を果たしてきたとはとても思えないし、…「関心を持てない、どうなってもいい組織」にしか見えていないと感じる。

さらに、学術会議が学術的にも機能不全に陥っている点や、提言活動が社会に響いていない現状への指摘、安全保障研究に対する硬直的な姿勢への批判など、具体的かつ合理的な視点が見られました。

大学院工学系研究科 岡本孝司教授

学術会議は、例えばALPS処理水の問題について、何も役に立っていない。内閣府や外務省など、日本国全体で科学的な説明を行った。日本国が大変な時に、役に立たない組織は、不要である。

「独立性を求めるなら財政的にも自立を」との指摘はもっともで、人文系の過激さに対し、経済・理系の冷静さに安心感を覚えます。

日本学術会議

一部の過激な声に振り回されず、日本の科学政策について実質的な議論が進むことを望まれます。

大学院理学系研究科 教授

学術会議のこれまでのあり方にこそ問題があった。この機会により公正な組織になることを望むが、それが難しければ、今の歪な形で存続するよりは、解体の方がましと考える。

大学院新領域創成科学研究科 浅井潔教授

学術会議が、その閉鎖性に関するアカデミアを含む方面からの批判を放置し、改善しなかったことが、現在の状況を招いた。自ら本質的な改革を提案すべきであった。

学術会議もそろそろ一般社会との乖離を受け止めるべきではないでしょうか。

大学院農学生命科学研究科 教授

今回の政府による学術会議に対する対応は、もともと共産党の影響力が大きかった同会議を正当かつ純粋に学問を追究する組織に改める上で当然のことと考える。

2025年6月、日本学術会議を国から切り離した独立法人とする法律が、参議院本会議で自民・公明・維新などの賛成多数で成立しました。この法律では、政府の任命制を見直し、会員は学術会議自身が選ぶ形式に変わります。一方で、組織の運営評価や監査を行う人事については、引き続き総理大臣の任命権が残されます。政府は財政支援も行う方針です。

大学院理学系研究科 教授

学術会議の要求、「①…⑤…」は、要するに「カネと公的地位はほしい、でも活動と会員選考には口を出すな」といっているわけで、多くの国民からすればムシのいい身勝手な要求としか思われないだろう。

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