「お金>時間」を「時間>お金」に変える

人生の2つの大きな制約要因は「お金」と「時間」です。この2つを自分にベストなバランスで使っていくことが豊かなライフスタイルにつながると思っています。

20代の頃は時間もありませんでしたが、それ以上にお金がありませんでした。「お金>時間」と言う価値観の中で、いかにお金を手に入れるかを考えていました。

投資をしたり節約をしたりして、とにかく資産を増やすことを優先してお金のために時間を犠牲にしていたわけです。

そんな習慣が、60代になった今もまだ身に付いて離れませんが、よく考えればもはやお金を増やす必要はなくなりました。

むしろ、気がつけば保有しているお金を限られた時間でどうやって使うかを考えるフェーズに入っているのです。

つまり「お金>時間」が「時間>お金」にいつしか変わってしまったというわけです。

例えば、若い頃は安くて美味しい店があれば、電車に乗って、行列に並んででも時間をかけて出かけていました。

しかし、今はどうしても行きたいお店であればともかく、単に安いというだけでは時間と手間をかけてわざわざ行く必要はありません。

もっと高いお店であっても、近くにある便利でおいしいお店を選べば良いのです。

シニアになっても相変わらず節約生活をしている人がいますが、本当にそのような生活が必要な人はそれほど多くない気がします。

「もしもの時に」「万が一のため」といった漠然とした不安感から過剰な資産を貯め込み、それを使わないまま人生を超えてしまう。そんな日本人が多いのではないでしょうか?

人生のどこかのタイミングで資産形成でお金を増やすのではなく、そのお金を後から悔いのないように惜しみなく使っていくタイミングが来るはずです。お金に対する考え方を増やすから使うに180度転換することが必要です。

このようなマインドセットの転換ができない人は「死ぬ時が1番金持ち」という残念な人になってしまいます。

自分に残された時間がどれぐらいあるかは誰にもわかりません。

ただ、多くの人が思っているほど実ははお金は必要ではなく、むしろ足りないのは時間というのが現実です。

お金は使わなければ、ただの数字です。でも、有益に使えば、周りにいる人たちを幸せな笑顔にすることができる素晴らしいツールです。使うことよりも使わないことの方が勿体ないことなのです。

bernie_photo/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年6月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。