金融所得から健康保険料を取ることの是非をめぐって議論が紛糾

政府は、株式配当や利子などの金融所得を医療・介護保険料に反映させる制度の検討を進めています。現在は確定申告をしない限り保険料に反映されないため、主に高齢の富裕層が軽い負担で済む構造になっています。これが「不公平だ」との指摘を受け、制度見直しの方針が「骨太の方針2024」に明記されました。

この政策は、主に高齢者を中心とした富裕層の負担を引き上げることを目的としていますが、SNSなどでは「現役世代が狙い撃ちされるのではないか」といった誤解が広がっており、その誤解を解こうとした記事のようですが、見出しのせいか誤解がさらに広まりました。

家計が保有する2200兆円超の金融資産の大半はシニア世代に集中しており、政府はこの高齢富裕層に応分の負担を求める狙いです。ただし、SNSなどでは「現役世代がまた狙われている」「社会保険料を払って得た金融資産にさらに保険料を課すのか」といった反発が相次いでおり、「新たな搾取」だとの声もあります。

https://twitter.com/satobtc/status/1865420422055166114

厚生労働省は、当面は国民健康保険や後期高齢者医療制度などへの反映を検討し、会社員が加入する被用者保険への導入は難しいとしています。また、新NISA口座での利益は対象外とする方針を説明していますが、SNSでは依然として誤解や不信感が根強い状況です。

ただし、物価高や社会保険料の負担が増す中、政府は年収800万円程度の現役世代を「富裕層」と見なして負担を求めています。一方で、不動産や金融資産を多く持つ高齢者が一律に「弱者」として優遇されるのは不公平です。今必要なのは、富裕な年金世代への適切な課税です。

一方、SNS上ではこうした制度導入よりも、「まず支出の見直しを」「不動産資産への課税こそが公平」といった主張も目立ちます。

特に「インフレ税」については、既に実質的に始まっているとの声があります。インフレが進めば、現役世代の実質賃金は目減りしつつも、賃上げ交渉で多少は対応可能ですが、2000兆円規模の金融資産が目減りしても気づきにくいため、インフレを通じて間接的に年金世代への資産課税が進んでいるという見方も出ています。

このように、金融所得課税の保険料反映には賛否があり、制度設計の方向性が今後の政治課題となりそうです。

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