S&P 500はジャクソンホールを無事通過

S&P 500はジャクソンホールを前に淡々とした利食いが降り注いだ後に、ジャクソンホールで見事なまでの出尽くし上げとなった。

前回の記事では「テクニカルにはOp Exショートカバーピーク説はまだベットする価値が残っており、上値追いの前には一呼吸を置きたいところであるが、決算がよい上で利下げを控えている中、短期的には6200より上では基本的には押し目買いが優勢になりそうである」としていたが、まさに「一呼吸置いた後の押し目買い」が正解であった。

ジャクソンホール前はそれまでに好調だったセクターから順に売られたため、気持ちいい押し目になった。

GSのシステマティック勢は8月前半の停滞を経て更に買い優勢となる。前回の記事で見てきたように既存ポジションは既にマックスに近い気がするが、果たして。

GS PBのHF顧客は買戻し中である。

BofAのディーラーガンマはOp Ex通過で大きく変わっており、その中身は先週の記事の予想に反する形で6400台のガンマウォールがむしろ成長している。6500を大幅に超えると再びショートカバーニーズが盛り上がるが、それまで上値攻めは利食いに耐えながらの動きになるだろう。6200割れでの需給悪化は残っている。

シタデル証券によると個人投資家の活動は夏休みが明けると一旦鎮静化する

今週の注目はなんと言っても水曜8/27引け後に発表されるNVDA決算であるS&P 500の8%を占めるこの銘柄で決算翌日に上下6%幅の値動きをオプション市場は織り込んでいる。この織込みは少し前の8%や10%対比ではやや落ち着いてきており、ハードルとして高いわけではない。

値動きの見方の定石は依然、寄り付き後に織込み幅以上の値動きがあればモメンタムに火が付きやすく、届かなければオプションの利食いに押されやすいだろうというものになる。また例えば6%上昇に届かず利食いに押されたとして、押されすぎて-6%に近付くとそこではサポートされやすいと思われる。

NAAIMは総楽観に張り付き始めた。これは引続き高値追いの前には一呼吸置くべきと示唆している。

インサイダーは売り止めが続いた後に再び売却が増え始めた。NAAIMと対照的である。

テクニカル。週足は綺麗な下ヒゲ陽線となっており、6343が週足サポートとなる。上値は6500前後のコールウォールが一旦抑えにかかるだろうが、もしコールウォールを超えられれば青天井となる。雇用統計以降、飛び付きやすいような押し目はちょいちょいあったので、6343が割れると「ここまでの上げがブルトラップであった」という形となるため要警戒であり、万が一6200まで割れた場合は需給が悪化するだろう。

ジャクソンホールは素直に警戒解除イベントと見なせてよいはずだ。もともと年末までの利下げ織込みが後退するとアンチ・ゴルディロックスになりやすいし、一方で50bpも含むことになる年内3回分以上の織込みが進行するプロセスではビハインド・ザ・カーブ懸念が盛り上がりやすく、MOVEとVIXの同時上昇が起きると思われていた(ゴルディロックスにはならない)。9月利下げが決定的になったことで前者の懸念は概ね消え、後者も今の経済指標ならあまり懸念する必要がないだろう。

次の指標の鬼門はオプション市場も織込む通り9月初旬の雇用統計であり、前者シナリオのリスクはジャクソンホールで後退したとはいえ、後者シナリオにならないように堅調に通過する必要がある。ジャクソンホールの中身を当てる記事でも述べた通り、現状指標自体についてはそこまで心配していないが、発表前は再びヘッジが重くなる可能性が残る。


編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2025年8月25日の記事を転載させていただきました。