頭の良い人は「理路整然と間違える」

個人投資家の人たちとお付き合いをしていると、いわゆる「頭の良い人」の方がうまくいかないケースが多いと感じます。

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頭の良い人とは論理的な思考力の強い人です。高学歴な理系の頭脳の持ち主が多いようです。

彼らは整合性を重視してロジカルに理論を積み上げていきます。過去のデータや実績を検証し、そこから未来を予測するようなアプローチが得意です。

しかし、世の中は常に過去の延長線にあるわけではありません。想定外の大きな変化が起こった時や環境が激変したときには、過去の経験やデータは役に立ちません。

むしろ、それにとらわれることが有害なことさえあるのです。

今やAIを始めとする新しいテクノロジーが台頭し、投資環境が大きく変わる可能性があります。そのような環境下では、むしろ過去にとらわれない柔軟な思考の方が良い結果を生み出すことになります。

また、頭の良い人は隅々まで気を配ることができ、投資する際もリスクについてきめ細かくチェックをする傾向があります。

投資の世界ではリターンを得るためにはリスクを取らなければなりません。不確実性があるからこそ、それが収益をもたらすのです。

どこまで不確実性を許容できるかという話になりますが、頭の良い人は重箱の隅をつくようなマイナスのポイントばかりが気になってしまい、決断が遅れがちです。

マイナス面をあれこれ気にしているうちに、投資のチャンスが逃げていってしまいます。

それよりも細かいことにあまりとらわれず、早く投資を始めた人の方が良い結果になることが多いものです。

思慮深く考えて行動する事ももちろん大切ですが、それによって逆に失うものがあることも覚えておくべきでしょう。

投資をやらない理由を理路整然と説明できる人が資産を増やせないのはこのような背景があるからだと思っています。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年9月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。