横浜国際総合競技場(通称「日産スタジアム」)は1998年開設。日産は2005年に命名権を取得し、以降20年間にわたり契約を継続してきた。当初は年4億7000万円の契約だったが、リーマンショック後は年1億〜1.5億円へ減額。現在は5年総額6億円(初期3年は年1億円、後2年は年1.5億円)の契約を締結している。

日産・内田誠前前社長 同社HPより
問題の核心:役員報酬は高額なのに命名権は大幅値切り
- 日産は2025年3月期に6708億円の最終赤字を計上し、世界で2万人削減、国内でも18年ぶりの希望退職を実施するなど大規模リストラ中。
- これを理由に、命名権更新額を現在の半額以下となる年間5000万円で1年間の暫定契約とするよう横浜市に要請。市も混乱回避のためこれを受け入れ、2027年以降は公募に切り替える方針。
- しかし、同社は退任した内田誠前社長ら4人の元役員に合計6億4600万円(1人平均1.5億円超)の退職慰労金を支給。内田氏は23年度だけで6億5700万円の報酬を得ていた。
- 社員には条件の良くない希望退職を募りながら、経営責任のある元役員へ巨額報酬を支払う姿勢に社内外から強い批判が噴出している。
横浜市への影響
- 「日産スタジアム」の名称変更には、公共施設800カ所以上の標識やバス停などの変更に少なくとも1億5000万円の追加費用が必要。
- 市は移行期間確保と混乱回避を優先し、1年間だけ5000万円で契約更新することを決定した。
- 2027年以降は命名権を公募し、新名称に変更される可能性が高い。
経営再建を理由に命名権料を半額以下に値切る一方、元役員へは数億円単位の退職金と高額報酬を支払い続ける日産経営陣の姿勢は、株主や社員、横浜市民からの不信を招いている。
国内最大級のスタジアムで得てきた認知度向上という象徴的資産を失いかねないこの判断は、短期的な経費削減を優先した経営の歪みを象徴している。

日産スタジアム(横浜国際総合競技場) Wikipediaより






