家賃上昇で生まれる不動産の「キャピタルゲイン」

東京23区の家賃の上昇が止まりません。これまではファミリー向け物件の家賃上昇が目立ちましたがここにきて専有面積30平方メートル以下の単身者向け物件も上昇してきています。

日本経済新聞電子版によれば、専有面積30平方メートル以下の物件の2025年9月の家賃は前月比0.4%高の10万4359円となり、16カ月連続で最高値を更新し続けています(図表も同紙から)。

私が保有している文京区の中古ワンルーム物件も来月の退去に伴い、早めの賃貸募集をしたところ、これまでの賃料が共益費込みで123,000円だったのが、26,000円アップし149,000円であっさり申し込みが入りました。

もしかしたら150,000円以上でも、入居希望者がいたのかもしれません。

東京23区のワンルームマンションは自治体のワンルームマンション規制があることで、ファミリータイプに比べ供給量が増えにくいという特徴があります。

さらに最近はインバウンド需要に対応したホテルの建設ニーズが強まり、駅近のマンション建設用地の確保が難しくなり、マンション自体の供給数が減ってきています。新築のマンション価格は上昇しており、家賃もそれにつれて上昇傾向になっています。

借りられる部屋数が少なくなって、とにかく部屋を押さえようという動きが強まっているように見えます。

ちなみに不動産投資の観点から見ると賃貸家賃が1000円上がると、年間で12,000円の賃料収入増加になります。これを4%の賃貸利回りで逆算すると30万円の不動産評価価格のアップになります。

今回の物件のように26,000円なら780万円の計算です。

不動産投資とは本来安定した家賃というインカム収入から安定した収益を狙うのが目的ですが、今や家賃の上昇でインカム収入が増えていくだけではなく、不動産価格の上昇によるキャピタルゲインも得られるようになっています。

これは全国一律の現象ではなく、東京23区などの一部のエリアに限られています。

mapo/iStock

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編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年10月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。