高市首相は無軌道な補正予算を修正できるのか?

高市首相「必要なら当初予算に」の波紋 補正削減なければ財政膨張も

高市首相「必要なら当初予算に」の波紋 補正削減なければ財政膨張も - 日本経済新聞
政府は年度途中の補正予算に盛り込んでいる経費の一部を当初予算に計上する改革の検討に入る。十数兆円規模が続いてきた巨額補正の中身を見直し、財政規模を平時の水準に戻す一歩になる可能性がある。補正の減額が進まなければ当初予算の増額だけに終わり、財政の膨張はさらに進む。「必要な予算を当初予算でちゃんと積むことは、とても必要だと...

政府は年度途中の補正予算に盛り込んでいる経費の一部を当初予算に計上する改革の検討に入る。十数兆円規模が続いてきた巨額補正の中身を見直し、財政規模を平時の水準に戻す一歩になる可能性がある。補正の減額が進まなければ当初予算の増額だけに終わり、財政の膨張はさらに進む。

「必要な予算を当初予算でちゃんと積むことは、とても必要だと考えている」。高市早苗首相は11月27日の経済財政諮問会議でこう述べ、補正と当初の予算のあり方を議論する考えを示した。政権内には2026年度予算案からこの考え方で編成すべきだとの意見もある。

これだけは評価します。でも散々ご案内のとおり、補正予算を「悪用」し始めたのは安倍晋三です。ここは明らかにすべきです。

諮問会議を取り仕切る内閣府の幹部は首相方針について「財政規模を平時の水準に戻すのが大前提で、補正を引き続き大規模にする話ではない」と強調する。補正への計上が常態化している事業や防衛・経済安全保障分野などの恒常的な経費を、補正から当初予算に回すのが目的だと説明する。

これをどれだけ積極財政を標ぼうする高市首相が実現するのか。

経済対策などに投じる補正予算は、新型コロナウイルス危機前は数兆円ほどが相場だった。コロナ危機以降は政府・与党から「補正は昨年以上で」と規模ありきの圧力が強まるのが年中行事となった。

こういうところが日経の駄目なところです。

本来補正は編成時に想定していなかった異常な事態に対して、迅速に手当てをするためのものです。

補正で本予算を補完するようなことをしてはいけない。財政法に違反していることはもちろん、本予算より予算を通すのが楽な補正予算を「悪用」することは財政規律を緩くします。事実安倍政権では放漫経営で財政赤字が積みあがりました。

首相は単年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)目標を取り下げると表明した。

高市首相は基本的に借金して税金をばらまけば景気がよくなるという積極財政の信者です。ですがそれはこの30年失敗を続けてGDPの2倍以上の財政赤字を積み上げただけです。果たして、本気で財政規律を強める気があるのか。単に長期金利の高騰に驚いて、マーケット向けのエクスキューズではないのかと心配になります。

そもそも税収が80兆円しかないなかで115兆円レベルの予算規模は異常です。それに違和感を全く持たずに、補正で景気をよくするのだと息巻いていた首相が国債抑制発行に舵を切れるのでしょうか。

中国の戦艦など存在しないと指摘されたら、戦艦はある!

と、閣議決定するような人ですから期待は持てません。

高市首相 首相官邸HPより

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いずも級、22DDHは駆逐艦に非ず。 (清谷防衛経済研究所) – 清谷信一
暴力装置 (清谷防衛経済研究所) – 清谷信一

東洋経済オンラインに寄稿しました。

拡大する防衛費を防衛省・自衛隊が適切に使えていない可能性。陸上自衛隊による、銃の調達や取り扱いから垣間見える「知識不足」の疑い
https://toyokeizai.net/articles/-/911653
ソニーグループが「隠れた防衛関連企業」といわれる理由、実は同社製のある汎用品がミサイルやドローンなどに欠かせないパーツになっていた
https://toyokeizai.net/articles/-/907817

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防衛破綻 – 清谷 信一


専守防衛 – 清谷 信一


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2025年12月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。