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先日、カフェで隣の席の会話が耳に入ってきた。40代くらいの女性二人。「うちの旦那、最近なんか不機嫌なの」「うちもー」。ああ、またか。
コロナ以降、「好きなことで稼ぎたい」という女性が増えた。フラワーアレンジメント、ハンドメイド、オンライン講師。自宅でできる仕事が増えたのは、確かに大きなチャンスだ。
「わかってもらえない妻 かまってもらえない夫 なぜ夫婦はすれ違うのか」(須藤夫婦 著)実業之日本社
で、問題は夫である。
妻がキラキラ輝き始めると、なぜか夫は不機嫌になる。話しかけると逃げる。目を合わせない。まるで思春期の息子だ(失礼)。
なぜか。
要するに、怖いのだ。妻が成功したら自分の立場はどうなる。家事の負担が増えるのも嫌だ。「一家の大黒柱」というプライドも危うい。でもそんなこと口に出せるわけがない。だから逃げる。黙る。不機嫌になる。
男って、面倒くさい生き物だなと思う。いや、人間が面倒くさいのか。
じゃあどうするか。
「夫婦でビジョンを共有しましょう」なんて言うと、なんだか意識高い系みたいで気恥ずかしいけど、結局これしかない。あなたは将来どう暮らしたい? 私はこうしたい。家族でこうなりたいから、そのためにがんばりたいの——って、ちゃんと言葉にする。
ポイントは、夫を「敵」にしないこと。「あなたのおかげで挑戦できる」「ありがとう」。この一言があるかないかで、全然違う。男のプライドなんて、その程度で満たされる。単純といえば単純だが、そこを馬鹿にしちゃいけない。
それから、小さな成功があったらちゃんと報告すること。お客さんがついた、少しだけど収入があった——そういう時に「一緒に乾杯しよう」と言えるかどうか。「私一人でやった」じゃなくて「あなたが支えてくれたから」。これ、嘘でもいい。いや、嘘じゃないか。実際、家庭が回っているから挑戦できるわけで。
夫婦はチーム。相手が勝てば自分も勝つ。
……まあ、言うは易し、だけどね。うまくいかない時は、また作戦を練り直せばいい。
※ ここでは、本編のエピソードをラノベ調のコラムの形で編集し直しています。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
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22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)








