2025年の日本の出生数が、政府の中期予測を大幅に下回り、統計開始以来最少となる見通しが強まっている。少子化は想定以上のスピードで進み、人口構造・経済環境・地域社会に深刻な影響を及ぼしつつある。
参照:25年の出生数は最少66.5万人 民間試算、結婚数は横ばい 日経新聞
- 日本総研の推計では、2025年の出生数は 66万人台 に落ち込み、1899年の統計開始以来の最少となる可能性が高い。
- 国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の中位推計(74万9000人)を大幅に割り込み、低位推計(65万8000人)にほぼ接近。
- 出生数は2016年以降の「急減期」が続いており、わずか9年で約3割減という異例のペースとなっている。
- 出生数を支えてきた団塊ジュニア世代が出産適齢期を過ぎ、出生率の高い女性人口が急減。
- この要因は今後も改善が見込まれず、出生数の回復は非常に厳しいと見られる。
- 結婚に必要とされる年収は379万円(2014年)→544万円(2024年)、出産は450万円→683万円と1.5倍超に上昇。(参照:ここ10年で急激に進んだ「子どもを持てるかどうかの経済的階級制」どんどんしぼんでいく所得中間層以下 荒木和久)
- 25年の婚姻数は下げ止まったが、若者の「結婚しても子どもを持たない」という選択も増え、出生減に拍車をかけている。
- 結婚・出産が「上位層の行動」になり、中間層の婚姻減が出生減の主因となっている。
- このままでは2030年代から社会の担い手の急減期が始まる。
- 2040年代には労働供給が約3割減となり、経済・社会保障制度への影響が避けられない。
2025年の出生数が政府予測を大きく下回る見通しとなり、日本の少子化は新たな局面に入った。団塊ジュニア世代の出産終了という構造的要因に加え、中間層の婚姻・出産を直撃する経済不安が重なり、従来の対策だけでは出生減に歯止めがかからない。2030年代半ば以降の労働力急減を前に、政府と社会全体が新たな人口戦略を迫られている。

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