最近すっかり名前を聞かなくなっていたリフレ派ですが、高市政権のブレーンとしてかき集められた結果、久々にその名をメディアでも目にするようになりました。
ただ、あらためて話を聞いてみると、なんだか昔と言ってること変わってません?
以下なんてそのまんまMMTじゃないですかね。デフレ下ならともかく、先進国でも一二位を争う高インフレ下でこういうこと言ってるのを見ると、もはや狂気すら感じられます。
高市政権の成長戦略会議の有識者委員に就任したエコノミストの会田卓司
NHKの日曜討論で 「財源は全て国債にする」 「国債を躊躇なく発行」 「プライマリーバランスの黒字化目標を完全に消す」
高市さん、なんでこんな三橋クラスのトンデモを呼ぶのか。こんなのが通ったら日本の信用は吹き飛ぶよ
— 【永江の新垢】Web系コンサルタント兼マーケッターのai使い (@IssekiNagae) December 13, 2025
色々な識者も指摘するように、なんというかリフレ信者も教祖たちも、明らかに質が一変しましたよね(苦笑)
>本来のリフレ派は「物価が低いことをデフレという悪い状態」とみなし、それは「金融政策だけで脱却できる」と考え、2%の物価目標を日銀に強いた。… pic.twitter.com/QVr0MWrtli
— 中山 一貴 #東洋経済 (@overk0823) December 16, 2025
筆者はリフレ派の主張そのものをどうこう言うつもりはないです。ただ仕事柄、どういう人達がそれを有難がり、なぜ変質したのかは非常に興味がありますね。
というわけで、今回まとめてみたいと思います。それはキャリアの深淵につながる話でもあります。

どういう人がアベノミクスで笑い、誰が泣いたか
おそらくアベノミクスの支持者といっても一枚岩というわけではなく、大雑把に分けると以下の3タイプがいたはずです。
A. ビジネスエリート
B. 不動産や株式等、それなりの資産を持っている人
C. エリートでもなく資産も持たない人
さて、実際にインフレになってから何が起きたか。
インフレに伴い企業の人件費の原資も増加するため、Aのビジネスエリートは最優先で賃上げが行われることになります。
それも、今後もインフレが継続すると会社側が判断すれば(後で下げる心配をしなくてもよいので)かなり思い切った賃上げを実施してくれるはず。
一方で、辞められてもかまわない人の賃金は据え置かれることになります。言い換えればBやCの実質賃金を下げてAの実質賃金を上げるようなものですね。
とはいえ、実質賃金が下がったとしても、資産のあるBはそれを上回る十分なメリットがあったはず。都内のマンション価格は過去10年で3~4割は普通に上昇しており、今後も上がる見込みです。
【参考リンク】中古マンション価格、東京都心3区の過熱鮮明 賃料価格比が急低下

日経平均も2024年2月にバブル期高値の3万8957円を超え、現在は5万円の大台に乗っています。資産バブルの恩恵に比べれば、むしろ実質賃金の低下なんて微々たるものかもしれません。
一方で、そうしたメリットが何もないのがCのタイプの人です。彼はただインフレ税を負担し、エリートや資産家が潤うのを指をくわえて見ている以外にありません。
エリートでもなく資産もないこの手の人たちは、アベノミクスで単に苦しくなっただけなんですね。
いまネットで盛んに「もっと財政拡大しろ、金ばらまけ」って言ってるリフレ派の人たちって、AやBのタイプの人たちが卒業して、残ったCのタイプなんじゃないかというのが筆者の見立てです。
AやBのタイプは絶対そんな要求はしないと思うんですよ。別に困ってないし。そもそも自身が給料もらってる企業や所有する資産にとってマイナスになりかねない過激な要求なんてするわけがないですから。
そういう守るものがまったく無いCタイプが「俺にしたたり落ちてくるくらい金を負け、何なら直接配れ」と半ばヤケクソになって叫んでいるのが、一昔前のリフレ派と今のそれとの温度差の正体なのではないか。
なんだったら失敗して日本経済がボロボロになったってかまわない。みんな自分のところまで落ちてくるだけだから。そういう心の底に秘めた破滅願望みたいなものが、彼らから感じられる狂気の正体なのではないか。
そして、残った信者向けのリップサービスなのか、はたまた誤りを認められない自身のプライドのためかはわかりませんが、教祖らもそれに合わせて自説をアップデートしたから冒頭のようなエキセントリックな話になってきているんでしょう。
で、そういう過激化、先鋭化を潔しとしない筋を通す人も当然いて、長く続いた一派が分裂するのは、学生運動から反原発まで、いろいろな運動の末期に共通してみられる現象ですね。
【参考リンク】「日本は安売りになっている」“アベノミクス生みの親”浜田宏一氏がサナエノミクスに苦言「今の日本に必要な政策は真逆」

そういえばちょっと前に、MMTのご意見番のマンサクに仲間認定されてキレてる人もいましたけど、マンサクは動物的勘で、上記のようなリフレ派の質的変化に気付いたんでしょう。
岩田先生はそんなことを全く言っていませんが。大体、どんな状況で、どれだけの規模でといった限定なしに「国債発行&日本銀行の買いオペで何ら問題ない」等と主張するような人はまともな学者には誰もいません。出典も示さずにいい加減な根拠がないことを書かないでほしいものです。非常に迷惑です。 pic.twitter.com/ujebmnuOyu
— 柿埜真吾 (@ShingoKakino) August 25, 2025
偉いセンセーはともかく、末端の信徒同士はケンカしないで仲良くしたらいいと思いますね。有意義な情報交換ができると思いますよ。「どこどこのスーパーは〇曜日は安い」とか。
最後に、当事者の皆さんに一つだけアドバイスを。
皆さんはたぶん「金融緩和じゃ(自分の人生に)効かなかったから今度は財政なんだよ」みたいなスタンスなんでしょうが、反省すべきはそこじゃありません。
真に反省すべきは「政府に自分の人生をなんとかしてほしい」という根本的な生き方の部分です。自分の人生を何とか出来るのは自分だけであり、政府に丸投げした時点で人生は詰みです。
断言しますが、万が一積極財政が実現したとしても、豊かになるのはしっかり努力している人、資産を持っている人だけです。自分で努力しない人の人生は一ミリも上向きません。
というわけで、政府におカネをばらまかせて自分の財布の中に降ってくるワンチャンに人生賭けるよりも、自分の足で前へ進む努力をしましょう。そっちの方が確実に今より豊かになれますから。
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以降、
ダメな人がいつまで経ってもダメなわけ
25年は転職市場におけるミドルシニア元年!天からお金が降ってくるのを待つほど暇なら働け!
Q:「早期退職→夢の喫茶店開業に賭ける友人が心配です」
→A:「読んでるだけで私も心配になりました」
Q:「独身者は管理職に登用しない、という考えはアリですか?」
→A:「公式には無くなりましたが非公式にそういう考えを持つ人はいますね」
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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’sLabo」2025年12月25日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。






