前橋市「ラブホ市長」再選に感じる「有権者の成熟」

昨日の前橋市長選挙で辞職して出直し立候補した小川晶氏が再選されました。市長時代に既婚の部下とラブホテルで密会したことが問題視されたのが辞職の原因です。

もし、日本の会社で上司と部下がラブホテルで密会して会社に知られるところとなれば、懲戒免職処分にはならないとしても左遷されて出世の道が閉ざされるのが通常です。本人は否定しているようですが「ラブホテルで密会=不倫」と考えるのが常識です。

市長の人事を決めるのはその市に住んでいる有権者ですから、今回の選挙結果は市民が左遷人事という選択をしなかったと解釈できます。

前橋市民は小川氏がこれまで実現してきた行政手腕を評価して、多くの人が再選を支持したということです。

前橋市に限らず政治家の不倫やセクハラ・パワハラは珍しいことではありません。

1年前には国民民主党の玉木代表の不倫問題がありましたし、最近では福井県の杉本達治前知事が自身のセクハラ問題で辞任しています。

不倫もセクハラもあってはならないことですが、意味合いは随分異なります。

不倫とは不法行為として配偶者から民事責任を問われることがありますが、刑事罰の対象となる犯罪ではありません。一方でセクハラは内容によっては不同意わいせつ罪などに問われ、刑事責任を問われる可能性があります。

不倫とは当事者やその家族などのプライベートな問題であって、悪質なセクハラのような犯罪行為とは区別して考える必要があるということです。

私は会社でも行政でも組織のトップの評価は仕事で結果を出せるかどうかであって、プライベートの行動倫理は犯罪でなければファーストプライオリティではないと思っています。

もし「会社を成長させる不倫している社長」と「会社を衰退させる清廉潔白な社長」がいたら、どちらについていきたいと思うでしょうか?人間的には尊敬できないとしても、私は経営者としての優れた能力を持つ人と仕事をすることを選びます。

しかし、企業でトップが不倫をすれば世間の批判にさらされて辞任に追い込まれるのが通常です。今回の選挙結果はそんなスタンダードな展開とは異なる結果です。

本人同士が合意の上の不倫であれば、それは本人たちとそれぞれの家族の問題であって他人が口出しすべきものではありません。ましてや前橋市民でもないのに市役所に抗議の電話をしたり、SNSで誹謗中傷するのは「おまいう(お前が言うな)」の世界です。

今回の選挙結果は自治体のトップに立つものが倫理性よりも仕事の結果で評価された。その意味では私には日本の有権者がある意味成熟した証に見えました。

ただ、もやもやするのは不倫相手の市職員とそのご家族の方です。家族との関係は当人が解決するしかない問題です。しかし、停職6カ月の懲戒処分にされ昨年末で依願退職に追い込まれたのは自業自得とはいえ再選された市長とはあまりに対照的すぎます。

いずれにしても他人のプライバシーに土足で踏み込むような行為が無いようにして欲しいものです。

小川晶前橋市長Xより


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年1月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。