ポーランドのトゥスク首相は3日、少女買春などの罪で起訴され、収監後、自殺した米富豪ジェフリー・エプスタイン氏とロシア情報機関の関係を調査する方針を示した。米司法省が追加公開した300万ページ以上の新たな資料で、エプスタイン氏とロシアとの深いつながりが明らかになったためとしている。

トゥスク首相、エプスタイン問題に関する分析チームを任命 2026年2月3日 ポーランド首相公式サイトから
トゥスク首相は「ロシア情報機関が同スキャンダルに共謀していた可能性が高まっている。わが国の安全保障にとっても深刻な事態だ。このスキャンダルが現在の国際情勢にも影響を与え続けているからだ。ロシアは現在も活動している多くの政治家にとって不利な材料を保有している可能性がある」と述べている。ポーランド通信社(PAP)の報道によると、トゥスク氏は、エプスタイン問題についてワルデマール・ズレック法相らが参加する分析チームを設置するという。
エプスタイン氏に関するファイルには、ポーランド出身者の名前はほとんど含まれていないが、ポーランドにとって、エプスタイン氏がロシアと密接な関係を持っていた可能性を示唆する情報は、安全保障にも関連してくると受け取られている。
すなわち、アメリカの大富豪エプスタイン氏は、数十人の若い女性や未成年者を被害者とする性的人身売買グループを運営していた。同時に、彼は政界、財界、学界の最高層とのつながりを維持していた。そのエプスタイン氏はロシア情報機関のために、有力な政治家や実業家のスキャンダル(ハニートラップ)を収集していた、という疑惑は、2026年1月末から2月初旬にかけて米司法省が公開した約300万ページに及ぶ膨大な捜査資料(通称:エプスタイン・ファイル)の内容が根拠となっている。公開された資料には、エプスタイン氏とロシア、およびプーチン大統領との関わりを示唆する記述が多数含まれていたという。
米捜査当局はエプスタイン氏の偽造パスポートを発見しており、そこには英国、サウジアラビア、フランス、スペインなどの入国スタンプと共に、ロシアへ少なくとも3回渡航した記録が残されていた。また、エプスタイン氏自身が周囲にプーチン大統領との親密な関係を誇示していたというのだ。
米司法省のブランチ司法副長官は、「公開された資料には不穏な内容が含まれているものの、現時点ですぐに新たな刑事捜査を開始する根拠にはならない」との立場を取っている。現時点では、エプスタイン氏が正式な「ロシア情報機関の協力者」であったと確定できないが、公開された司法省のファイルには、彼がロシアの国家中枢や情報機関と極めて密接な、あるいは協力的な関係にあったことを示唆する具体的証拠や証言が多数含まれているのは事実だ。
ちなみに、トランプ氏の親プーチン路線はトランプ氏がプーチン氏に弱みを握られているからではないか、という憶測がこれまで囁かれてきたが、今回の公開されたエプスタイン・ファイルは、その憶測に再び火をつける可能性がある。
資料によれば、エプスタイン氏は単なる性犯罪者ではなく、ロシアの情報機関のために「影響力のある人物のスキャンダルを収集するエージェント」として動いていた疑惑が浮上してきた。もしエプスタイン氏がトランプ氏の弱みを握り、その情報がロシア側に共有されていたとすれば、ロシアがトランプ氏をコントロールできるという構図が成立する。また、ファイルには、2016年の大統領選前後にエプスタイン氏がロシア側と頻繁に連絡を取り合っていた形跡が含まれている。トランプ陣営がロシアと共謀していたという「ロシア・ゲート」疑惑があったが、エプスタイン氏がロシアとトランプ氏を繋ぐ「連絡役」を果たしていた可能性が、新たな捜査資料によって再燃している。
ポーランドなど一部の国がエプスタイン・ファイルの独自調査に乗り出したのは、「トランプ氏の親プーチン政策が、個人的な弱みに基づくものであるとすれば、世界の安全保障上のリスクだ。その可能性が、無視できないレベルまで高まった」と判断したためだろう。
トランプ氏側は一貫してエプスタイン氏との深い関わりを否定しており、今回の資料公開も「政治的な動機による攻撃」と反発している。
なお、「エプスタイン氏はロシア情報機関の協力者」説に対し、プーチン大統領の側近であるキリル・ドミトリエフ氏は「堕落していて、虚偽を言うような左翼エリートたちはパニックに陥り、人々を欺こうとしている。世界は悪魔のようなリベラルエリートの嘘にうんざりしており、彼らの嘘を見抜いている」と、Xプラットフォームに記している。

逮捕時のエプスタイン氏
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年2月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。






