「モームリ」のビジネス形態がもう無理

イタリアのコルティナ五輪が始まりました。イタリアらしく五輪用のケーブルカーの完成はあと2週間かかるらしいので基本的には五輪が終わった頃に完成するイメージでしょうか?このあたりの「イタリアらしさ」は裏切ることがありません。さて冬の五輪は影が薄く、今回も事前報道は今一つ、ラジオでは日曜日のスーパーボウルを報じており、「えっ、五輪、やっているんだ」という感じ。日本でも週明けは選挙関連報道が主体なのでイタリアのケーブルカーと同じく、閉幕する頃に「さて、五輪ですが…」となるのでしょうか?ちなみにIOCはこの人気が高まらない冬の五輪に夏の五輪種目の一部を移動する検討を進めるとか。自転車などが候補の様ですが、マラソンもいれたほうがいいと思います。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

アメリカの気になる雇用の弱さ

本来であれば今日、アメリカの1月の雇用統計の話題ができたのですが、一部政府機関の閉鎖で11日に発表が延期されています。民間業者が集計した1月の雇用状況は極めて悪く、企業が人員削減を進め、1月は17年ぶりの減少幅となっています。新規雇用も民間部門で2万人増程度にとどまっており、ひょっとすると雇用データはマイナスとなる可能性があります。雇用の弱さは昨年の初夏ぐらいからずっと続いていますが、私は金利の上げ下げの問題だけではなくAIがもたらしている構造的変化がボディーブローのように効いているとみています。

また消費者の消費行動規範が変わってきており、かつてのように街ブラとかモールで買い物からオンラインへ移行されています。今やiPhoneだってオンラインで買う時代です。とすればリテールがいらない⇒店員がいらない⇒モールもいらない⇒建築減少⇒建設従事者もおまんまの食い上げであります。一方、オンラインストアの老舗、アマゾンの決算が冴えず株価は崩落しました。これは売り上げはともかく経営内容が投資家に響かなかったことが原因です。これで昔の名前で出ているGAFAMの決算は出そろいましたが、52週高値から見るとグーグル以外の春は遠そうな気配を感じます。

雇用が弱いならば金利引き下げの出番です。3月に利下げするという予想はマイナーですが、私は以前するかも、と申し上げました。パウエル氏の立場から4月の退任前は出来ないと思うのでやるなら3月しかないのですが、雇用が悪いなら下げたほうが良いでしょう。市場は「高い株価での疑心暗鬼状態」にあり、一歩間違えば暴落しかねないところにあります。よってカンフル剤の期待値を高めないと2月が乗り越えられなくなります。株価の大変動は嫌なムードの予兆ですから要注意です。

常識の変化はあまりにも早く…

アンソロピックというAIの会社が最近発表したAIプラットフォームの新型プラグイン、その名も「リーガル」が発表されたとき、世の中のソフトウェアの会社が「生き残れないかも」と思わせるほど一部の業界が震撼しました。IT化に伴い我々はアプリとかソフトウェアという形で自らのディバイスやパソコンをカスタマイズし、必要な能力を取り込んできました。しかしチャットGPTがでて世の中の動きは変わります。私はグーグルのジェミニの方が性能が良い感じがしており、業務ではこちらに世話になっています。

昨日、「2つの力技ディール」の中でイーロン マスク氏の宇宙開発の話に触れましたが、今日、ブルームバーグに「マスク氏の野望は宇宙にデータセンターを作ることだ」とあります。これはアマゾンのブルーオリジンも進めております。今、地上のあちらこちらにデータセンター建設ラッシュ、そして電力が足りないと大騒ぎしています。これ、宇宙でやるならば太陽光が衛星の場所によってはずっとあるし、曇りの日はないので電力供給という点では無敵なのですね。宇宙のデータセンターの実現はたぶん、30年代初頭になると思いますが、今、建設している地上のデータセンターはその時点で完全に凌駕されてしまうのです。

世の中の常識の変化スピードは加速しています。かつてデジカメにウォークマン、翻訳機を持って歩いた人々にとってスマホ1つで全部代用できる日がこれほど早く、そして家からは家電(いえでん)もカメラもなくなった人が殆どではないかと思います。会社のウェブサイトの寿命はだいたい3-5年程度で、今も一つ完全リメーク作業中です。理由はデザインや使い勝手もありますが、セキュリティ上の問題もあります。そうすると私のようにウェブサイトが5つもあると常時どこかでやり直さねばならず、資金需要も大きくなります。常識が変わるのは消費者には嬉しいこと、一方、事業者は資金回収する前にその事業や投資で損失を計上せざるを得なくなるのでしょう。商売やってられん、とつぶやきたくなることもしばしばです。

「モームリ」のビジネス形態がもう無理

退職代行会社「モームリ」の社長と妻で同社の部長が逮捕されました。弁護士斡旋とその報酬受領が直接の逮捕要因ですが、以前この問題が発覚した際この話題に関し「辞めたくても辞められない人もいる」という意見があり、むしろ擁護とも取れる声が割と多かったのにかなりびっくりしました。私はビジネスは世の中で必要とされるものなのか、単なる上澄みをかすめ取るみみっちいビジネスなのかよく考えるべきだと思うのです。これは自分の力で会社を辞められない人たちにそっと優しく寄り添う風をしてお金をかすめる弱い者への「たかりビジネス」だと思っています。

いみじくも青学の原監督がテレビで本件に関して「自分のケツぐらい自分で拭け」と発言したそうですが、私もそう思います。これを言うと上から目線と短絡的な非難が来るのですが、私は従業員一人ひとりが強くなるべきだと思うのです。北米で仕事をしていて思うのは雇用主と従業員は極めて対等な権利と義務を有する、という点です。よって双方、枠組みから外れたことをすれば文句も言われるし、訴訟になることもあるでしょう。トラブルになった直属の管理職は厳しいペナルティが待っています。

今はもう昭和の時代ではないのです。上司は昭和の人かもしれませんが、昭和生まれの人だって時代の変化を理解して会社の管理職になっているのです。その管理職に能力がないならそれは人事部の教育活動が不十分だということです。人事部は受け身の仕事ではなく、管理職には部下へやってよいこと、悪いことを定期的に教育し、違反者にはペナルティを課す仕組みを作る一方、従業員には従業員の権利と義務を定期的に指導するべきです。会社規模が大きい場合、社内向け動画配信でもよいでしょう。人事部は風紀委員のようなものなのです。退職代行という奇妙なビジネスの存在を許したのは人事部の怠慢と言いたいぐらいです。

後記
日本での教育プロジェクトと研究が決まりました。舞台は京都。この3年ぐらいずっと京都に通いながらスキームの模索をしていました。当初期待していたプランが没になり一からやり直しとなった時、「これは自分でやるしかないな」と思ったのです。教育プロジェクト、ましてや京都で展開するのは私にとっては未知の中の未知でしたが、信念をもって押し通しました。2月末には京都で細かい話をまとめ上げます。その間、カナダの大学と連携して新しい教育プログラムも同時に進んでおり、今年から始動します。5年ぐらい前に「次は教育」と皆さんに言い放っていたのですが、2026年、ようやく開花します。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年2月7日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。