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結論から言う。
要領が悪い人は、段取りが下手なのだ。能力の問題じゃない。
『要領がいい人が見えないところでやっている50のこと』(石川和男 著/明日香出版社)
コロナ禍の初期、建設業界で信じられないことが起きた。建物は完成しているのに、トイレの部品が中国から届かず引き渡せない。新築マイホームを前に「トイレ待ち」で入居できないって、笑えない。観光地のトイレ行列じゃないんだから。
でも、似たようなことは毎日オフィスでも起きている。
部長の承認があれば商品を卸せるのに、出張で1週間つかまらない。午後から部下と書類チェックの予定だったのに、早退届が出ていたのをすっかり忘れていた。結局ひとりで残業。――これ、全部「段取り」の問題だ。自分の仕事の能力とは、まったく関係ない。
要するに、最後のピースが足りないのだ。99%できていても、残り1%がそろわなければゼロと同じ。トイレのない家に住めないのと一緒である。
じゃあ、要領がいい人は何が違うのか。
答えはシンプルで、他人が絡む仕事を先に片づける。いや、片づけるというか、先に「予約」しておく。「A課長、11時に仕上がるので確認お願いします」「Bさん、15時からデータ分析いけますか?」。これだけでいい。たったこれだけのことが、できない人が驚くほど多い。
ひとりでできる作業なんて、いつだってできる。深夜でも早朝でも、やろうと思えばやれる。でも、相手がいる仕事はそうはいかない。相手にも予定がある。直前に「今すぐお願いします」なんて言われたら、そりゃ無理だ。でも前もって言っておけば、「2時間後なら空くよ」くらいの返事はもらえる。
しかもこれ、副産物がある。「11時までに仕上げなきゃ」という締め切りが勝手に生まれるのだ。自分で自分を追い込む仕組みが、段取りひとつで出来上がる。一石二鳥どころか、三鳥くらいある。
そういえば、もうひとつ言っておかないといけないことがあった。
今の時代、コロナやインフルで突然1週間休むなんて珍しくない。それ自体は誰も責められない。問題は、その人しかできない仕事が残ること。「ナレッジ共有」なんてカタカナで言うと大げさだが、要は最低2人が同じ業務をこなせる体制にしておけという話だ。決裁権もそう。ひとりが倒れたら全部止まる組織なんて、はっきり言って脆い。
要領がいい人は、能力が高い人ではない。周囲を巻き込む段取りがうまい人だ。ここを勘違いしている人が、本当に多い。
※ ここでは、本編のエピソードをラノベ調のコラムに編集し直しています。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
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