黒田東彦前日銀総裁の「引き締め必要」発言が正論でも嫌われるわけ

黒田東彦・前日銀総裁が9日公開の文春オンラインの対談記事で「現在は円安・インフレ局面にある以上、金融も財政も引き締めるべきだ」と述べたことを受け、激しい批判と皮肉が相次いでいる。批判の焦点は「黒田氏自身の10年間の異次元緩和こそが現在の円安・インフレの遠因であるにもかかわらず、退任後に引き締めを主張するのは無責任だ」という点に集中している。

【参照リンク】「今は金融も財政も引き締めるべき」前日銀総裁・黒田東彦氏が警鐘を鳴らす高市政権の経済対策 文春オンライン

  • 黒田氏はインタビューで「異次元緩和は2023年で終わっている」「現在の円安は高市政権の積極財政への懸念、いわゆる高市トレードが大きい」と述べ、自身の金融政策との因果関係を否定した。
  • これに対し、「日銀が大量の国債を抱え込んだ結果、利上げや正常化が遅れたことが現在の円安を招いた」「出口を塞いだのは黒田時代の負の遺産だ」との反論が相次いだ。
  • ネットでは「お前が言うな」「自分が蒔いた種を植田日銀や現政権に押し付けているだけ」といった批判が多数を占め、責任逃れとの受け止めが広がった。
  • 在任中は「拙速な引き締めは景気を悪化させる」として緩和継続を正当化してきたにもかかわらず、退任後に引き締めを主張したことについて「手のひら返し」「ダブルスタンダードだ」との指摘が目立った。
  • 一部では、黒田氏が安倍政権下で消費増税を後押しした経緯を引き合いに、「自ら関与した政策の失敗を認めない姿勢が一貫している」と感心する声もあがっている。
  • 感情的な反発も強く、「ばら撒き緩和を10年続けて出口戦略なしで去った人に資格はない」「国民を苦しめた張本人が上から目線で語るな」といった辛辣な批判が散見される。
  • 一方で「インフレ下で引き締めが必要という主張自体は教科書的に正しい」「指摘は的確だがタイミングが最悪だ」とする中立的な意見もみられた。

今回の対談では「自ら主導した異次元緩和が出口を塞ぎ円安・インフレの遠因を作ったにもかかわらず、退任後に他人事のように引き締めを唱える」という構図として受け止められ、黒田氏が在任中に浴びてきた批判を再び呼び起こした。信頼回復には、自らの政策の総括と責任の所在をめぐるより踏み込んだ説明が求められる。

黒田前総裁 日本銀行HPより