イラン戦争の影響で、3月の原油の輸入量は昨年より3割減りました。トランプ大統領は「イランが石器時代になるまで戦争を続ける」と言っているので、この戦争は長引きそうです。
ところが高市首相は、記者会見でわざわざ「いつも通り給油を続けてください」と言っています。これはガソリン価格をリッター170円でおさえる補助金を出しているためですが、これを続けるとどうなるでしょうか?

Q. 補助金でガソリン価格をリッター170円におさえると消費はどうなりますか?
結論から言うと、ガソリンの消費は増えます(少なくとも減りにくくなります)。やさしく説明します。
ふつうは、ガソリンの値段が上がると
- 「高いからあまり使わないようにしよう」
- 「できるだけ車に乗る回数を減らそう」
と考える人が増えます。つまり、値段が上がると使う量は減ります。
でも、政府が補助金を出して「どんなに値上がりしても170円までにする」となるとどうでしょうか?
- いつも170円で買える
- 高くなっていることをあまり感じない
なので、「節約しよう」という気持ちが弱くなります。
その結果、
- 車に乗る回数は減りません
- むしろ安心して使う人も出てきます
→ ガソリンの消費は増えやすくなります
Q. 石油補助金をこのまま続けると価格はどうなりますか?
原油の輸入が減っているのに、ガソリンなど石油製品の消費が今まで通り続けば、価格は上がりやすくなります。
理由はとても単純です。入ってくる量が減るのに、使う量が減らなければ、「足りなくなるかもしれない」という不安が強まり、値段が上がるからです。これはスーパーの商品と同じで、品薄になるほど高くなりやすいのと同じ理屈です。
中東情勢の悪化でホルムズ海峡の通航が大きく滞り、IEAは世界の石油市場で大規模な供給途絶が起きていると説明しています。日本は原油輸入の9割超を中東に頼っているため、影響を受けやすい立場です。 (IEA)
価格の上がり方には順番があります。まず、原油価格が上がります。次に、精製して作るガソリンや軽油、灯油などの卸売価格が上がります。その後、時間差でガソリンスタンドの店頭価格に反映されます。
実際、資源エネルギー庁の補助制度サイトでは、2026年3月30日時点の全国平均はリッター170円ですが、補助がなければ218.3円相当だったと示されています。つまり、足元でも市場には強い値上がり圧力があります。 (燃料油価格定額引下げ措置)
ただし、すぐに一気に上がるとは限りません。日本政府は補助金や備蓄放出で値上がりを抑えようとしているので、店頭価格は一時的に抑えられますが、これは値上がりをなくすのではなく、見えにくしているだけです。
戦争が長引いて国家備蓄がなくなると価格は大きく上がり、貿易収支が赤字になって円安になるので、円建ての原油価格はさらに上がります。
今の石油補助金を続けると、1年で8000億円の財源が必要で、原油価格が1バレル100ドルを超えると、年間8兆円の財源が必要になります。これは将来、税金で返さないといけないので、国民負担は同じです。要するにこれは問題を先送りしているだけなのです。






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