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結論から言う。効率化に失敗する人は、全員「やりすぎ」ている。いや、正確には「始めすぎ」だ。
これは自分の話でもあるから、書いていて少々痛い。
『AIで加速する!効率化の教科書』(灰藤健吾 著 きずな出版)
数年前の話。「よし、仕事のやり方を根本から変えよう」と決意した夜があった。YouTubeで「仕事 効率化」と検索して、おすすめに出てきた動画を4本連続で観た。
翌朝、通勤の電車でNotionとTodoist、ついでにTogglもダウンロード。昼休みにはAmazonで仕事術の本を3冊ポチった。帰りの電車で「Googleカレンダーの色分けルール」なるものを検索して、15色に分類する方法を発見。「これで完璧だ」と思った。
3日後、全部やめた。
アプリの通知がうるさい。本は積読。Notionは白紙のまま。15色のカレンダーは、どの色が何だったか自分でもわからなくなった。「やっぱり自分には向いていないんだ」と落ち込んだが——違う。向いていないんじゃない。一度に全部やろうとしたのが間違いだった。それだけの話だ。
そういえば、これと同じことを母親が昔言っていた。大掃除の日に「全部の部屋を一気にやろう」とすると途中で疲れて結局どの部屋も中途半端になる、と。台所だけ、玄関だけ、今日はここだけ。そうすれば終わる。
効率化もまったく同じ構造だったわけだ。40年前に母が知っていたことを、自分はアプリを5個入れてようやく理解した。情けない。
じゃあ何から始めるか。「毎日必ずやる作業を、一つだけ見つける」。これだけでいい。毎日やるものなら、小さな改善が自動的に積み重なる。結果がすぐ見えるから、やる気も続く。失敗しても痛くない。
メール。資料作成。会議の準備。どれでもいい。「一番時間がかかっているな」と感じるやつを一つ選ぶ。そこだけいじる。
つい先日、知り合いの営業マンがぼそっと言った。「メールの定型文を5パターンだけつくった。それだけで毎日30分浮いた」と。
30分。月に10時間。年間120時間。丸5日分だ。たった5つの定型文で、である。壮大な仕事術なんか1ミリも要らなかった。
60点でいいのだ。完璧なんか目指すから3日で折れる。少し手を加える。少し変えてみる。この「少し」が、3か月後には別世界をつくっている。派手な改革は3日で死ぬ。地味な微調整は一生続く。どっちが遠くまで行けるか。まあ、言うまでもないだろう。
ただ一つだけ。明日の朝、パソコンを開いたとき、いつもの作業を「ちょっとだけ」違うやり方で試してみてほしい。一つだけでいい。それだけで十分だ。たぶん。
※ ここでは、本編のエピソードをラノベ調のコラムに編集し直しています。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
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23冊目の本を出版しました。日本初のClaude実用書です。
『3時間で身につくClaude活用術』(WAVE出版)









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