フィンランド「有事核持ち込み」の教訓

フィンランド、「核持ち込み」を容認

北欧のフィンランドは、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻から1年後の2023年4月、長年の非同盟・中立政策を転換し、NATO(北大西洋条約機構)に加盟した。NATO加盟の理由は、ウクライナに侵攻したロシアの軍事的脅威である。

フィンランドはロシアと1,300キロの国境線を接する自由民主主義国であり、核兵器を持たず、人口は550万人、軍事力は世界48位である。フィンランドは、NATOの主要国であり核大国でもある米国の「核の傘」に依存してきた。

しかし、フィンランド議会は2026年6月17日、核兵器の国内への持ち込みや移動を可能とする法律の改正案を賛成多数で可決した。これまでフィンランドでは、核兵器の持ち込み・輸送・所持は法律によって全面的に禁止されていたが、法改正により、国防上必要と判断された場合に限り、核兵器を自国領内に持ち込むことが可能になった。この法改正の背景には、ウクライナ侵攻を続ける隣国ロシアの脅威の高まりがある。

実際に核兵器が持ち込まれるかどうかは「有事の判断」による。具体的には、核を保有するNATOの主要メンバーである米国、フランス、英国の核兵器が持ち込みの対象となろう。フィンランドのハッカネン国防相は「この歴史的改革はフィンランドとNATO全体の安全を強化する」と述べた。

日本の核抑止力を強化する「有事の核持ち込み」

日本の「非核三原則」とは、「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という、ノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作元首相が1967年に唱えた「原則」であるが、これが「国是」として絶対化され、日本の防衛政策を大きく制約してきた。

日本は核保有国である中国、ロシア、北朝鮮に取り囲まれ、最悪の場合、これらの国から核恫喝や核攻撃を受け、日本の存立にかかわる危険性を排除できない地政学的立場に置かれている。2025年11月の「高市発言」を口実とする中国によるさまざまな報復措置や、自衛隊機に対する危険なレーダー照射なども、日本が核を保有していないからこその恫喝であり、挑発行為とも言えよう。

日本には「唯一の戦争被爆国」として、「非核三原則」堅持を求める世論がある。しかし、「非核三原則」は日本国の存立があってこその「原則」であり、国の存立に優先するものではない。あくまでも国の存立が大前提である。

「非核三原則」は、中国が軍事大国化せず、北朝鮮も核を保有していなかった50年以上前の「原則」である。しかし、核保有国である中国の覇権主義や、台湾有事、尖閣有事における力による現状変更の危険性、核保有国である北朝鮮の核・ミサイル開発の促進、中・ロ・朝の軍事連携強化など、東アジアの安全保障環境が激変した現在では、有事における核持ち込みを認めない「非核三原則」の堅持は、日本国を滅ぼす危険性がある。

日本政府は、米国の「核の傘」に依存してきたフィンランドが隣国ロシアの脅威に備え、「核の傘」よりも核抑止力を一段と強化する「有事の核持ち込み」を容認したことを参考とし、教訓として、「非核三原則」を見直し、有事における米国の「核持ち込み」を認める閣議決定をすべきである。

「核の傘」に比べ、有事の核持ち込みは、日本に対する核保有国である中国、ロシア、北朝鮮への「核抑止力」を一段と強化するであろう。

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