黒坂岳央です。
「人口が減るのだから、いずれ家も土地も余って安くなる」。この見立ては直感的で、多くの人が信じている。だが現実の不動産市場を見れば、これは逆が正しい。人口減少はむしろ、家の価格を押し上げる。
現在すでにそれが起きている。2026年の公示地価は全用途平均で前年比2.8%上昇し、5年連続の上昇となった。3大都市圏だけでなく、地方圏でも上昇が続いている。我が国はすでに人口減少が続いているのに、地価は下がるどころか上がり続けている。そしてこのメガトレンドは今後も続くといえる。

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値上がりを動かす二つの力
この上昇をすべて人口動態で説明するのは正確ではない。今の値上がりを動かしている力は、性質の異なる二つに分けて考える必要がある。
1つはコスト要因である。低金利の継続、円安、建築資材と人件費の高騰、そしてインバウンド需要。これらが土地と建物の価格を底上げしている。この要因は景気や金融政策で動く。そのため、金利が正常化し、円高に振れれば、状況は変わりうる。つまりコスト要因による上昇は、時代が変われば剥落する可能性がある。
もう1つが需要要因、すなわち人口の集中である。そしてこちらこそが、人口減少と結びついている。金融環境が変わってもこちらは消えない。
人口減少は都市集中を加速させる
人口減少は全国で均等には起きず、周縁部から先に崩れていく。
人が減れば税収が減り、自治体はインフラを維持できなくなる。上下水道、道路、医療、公共交通が細る。人口が一定を割れば、スーパーもコンビニも撤退し、日常の買い物すら成立しなくなる。さらに地震や水害で被災しても、人口が薄い地域は復旧の優先度が下がり、そのまま放置されて住めなくなる。
こうして「住めない土地」が外側から増えていく。どれだけ土地が安くても、家が投げ売りされてもインフラがなく、店舗が消えて病院もなければ、どれだけ住みたくても住めない。
行き場を失った人々は、生活インフラが維持される場所、都市へ移る。母数が減るほど、生き残る土地に需要が凝縮していく。人口減少が進むほど、この選別と集中は加速する。
だから「人口が減れば家は投げ売りされて安くなるから安く買い放題」という状況は起きない。むしろ、「人口が減るほど、人が便利に住める場所は絞り込まれ、そこは高騰し続ける」が正しい。
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人口減少と空き家の増加は「選ばれない土地」で起きる現象で、価格上昇は「人が住める土地」で起きる現象である。両者は矛盾しない。むしろ人口減少という同じ原因から生じる、表裏一体の帰結なのだ。
だから、これから家を持とうとする人が備えるべきは「いずれ安く買える」という楽観ではない。「どこに住むか?」が決定的に重要になる。
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「Z世代を甘やかすな」(著:黒坂岳央)







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