西洋医学だけが、がんの答えじゃない

metamorworks/iStock

がんの治療、と聞いて思い浮かべるのは、たぶん四つ。手術、抗がん剤、放射線、免疫療法。全部、西洋医学だ。でも、それだけじゃない。

「代替療法」という道がある。既存の治療を補ったり、時にはその代わりをつとめたりする治療のことだ。

この言葉を出すと、露骨に嫌な顔をする医者がいる。いるんだ、これが。「エビデンスが」と言いたいのはわかる。だが実際、効果のある代替療法でがんを乗り越えた人は、世界中にいる。アメリカの一流病院でさえ鍼や漢方を取り入れ、医学部の代替療法の講義は年々増えている。専門医の話だけ聞いて安心、という時代でもないらしい。

数ある中で、歴史も実績もあって信頼できるとされるのが二つ。ゲルソン療法と、サイモントン療法。順番に話す。

まず、ゲルソン療法。

食べ物、デトックス、サプリメント。ようは食で体を立て直す自然療法だ。医者に見放された進行がん・末期がんの人が救われた例も多く、その数、日本で100人以上、世界で数千人以上と言われている。──言われている、だ。私が数えたわけじゃない。念のため。

考案者のマックス・ゲルソン博士。1881年、ドイツ生まれ。医者になったはいいが、ひどい頭痛に悩まされた。名医に相談しても「治らない」の一点張り。腹が立ったのかどうか知らないが、博士は膨大な文献を漁った。そして「食事で頭痛が治る」という記述にたどりつく。半信半疑でやってみたら──治った。長年の頭痛が、消えた。

そこからだ。同じ頭痛持ちを指導しはじめたら、頭痛どころか、当時不治とされた結核まで良くなる人が出た。さらにはがんにも効くとわかった。話がどんどん大きくなる。眉に唾をつけたくなるが、まあ、聞いてほしい。

ゲルソン療法は、病気の原因を二つに見る。栄養の不足と、毒の蓄積。だから「たっぷり栄養」と「しっかり解毒」を柱に据える。にんじんや葉物のジュース、無農薬の野菜と果物、オートミール、ヒポクラテススープ。そして──ここで多くの人が「え」と言う──肝臓を助けて解毒を促す「コーヒー浣腸」。あと、CoQ10などのサプリ。

これで免疫やホルモン、臓器のはたらきを整える。すると、がんだけじゃなく高血圧も糖尿病もアレルギーも良くなった、という人が出てくる。ただし中身は体調しだいで細かく変わる。素人判断は禁物。専門家に付いてもらったほうがいい。ここは真面目に言っておく。

もう一つ、サイモントン療法。

これは薬を使わない。心のケアだ。心理療法である。それで進行がんが改善したり、余命が延びたりした実績があるという。ある報告では、心理療法を受けた乳がん患者グループの余命が、受けなかった場合の倍に延びたとされている。

考案者はカール・サイモントン博士。アメリカの心理社会腫瘍学の権威で、もとは放射線治療医だった。同じ治療をしても、良くなる人と、ならない人がいる。なぜだ。その問いから研究が始まった。行き着いた答えが、これだ。がんが治る人には「希望」と「信念」がある。

体だけ診ていても、たぶん足りない。心も一緒に連れていく。──それが、がんと本気で向き合うってことなのかもしれない。知らんけど、私はそう思っている。

※ここでは、本編のエピソードをラノベ調コラムに編集し直しています。

尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)

がんは腸で治る! ──がんが嫌なら便秘を治そう」(大場修治著)自由国民社

<書籍評価レポート>

■ 採点結果
【基礎点】  40点/50点(テーマ、論理構造、完成度、訴求力)
【技術点】  20点/25点(文章技術、構成技術)
【内容点】  20点/25点(独創性、説得性)
■ 最終スコア 【80点/100点】
■ 評価ランク ★★★☆ 水準以上の良書
■ 評価の根拠
【高評価ポイント】
テーマの普遍性:腸内環境という人体の根幹を主題に据えているため、刊行から七年を経ても内容が陳腐化していない。流行の健康法にありがちな「数年で古びる」現象と無縁である点は、本書最大の強みといえる。

実践性・訴求力:日々の食生活へ具体的に落とし込める指針が示されており、読者が「今日の食卓から変えてみよう」と行動に移しやすい。生活実感に根ざした訴求力が高い。

完成度・読みやすさ:専門的な知見を平易な言葉で噛み砕く筆致が丁寧で、健康分野に不慣れな一般読者でも無理なく読み通せる構成になっている。

【課題・改善点】
知見の更新余地:腸内細菌研究の新しい成果は反映されていない。本質的な指針は揺るがないものの、最新データを求める読者には物足りなさが残る。

独創性の弱さ:腸活・食生活をテーマとした類書は多く、切り口そのものの新規性はやや控えめ。他書との明確な差別化がもう一歩ほしいところである。

深掘りの限界:入門〜実践レベルの平易さを優先した結果、専門的なメカニズムの掘り下げは浅めにとどまる。基礎を押さえた読者が次に進むには、別の専門書が必要になる。

■ 総評
流行の健康法は数年で色褪せるが、腸を整える営みは時代に左右されない普遍性を持つ。専門知識を平易に噛み砕く筆致も丁寧で、読後は自然と日頃の食生活を見直したくなる。近年の腸内細菌研究の進展が反映されていない点は惜しいが、本質的な指針が古びない以上、致命傷にはならない。日々の食卓を静かに変える力を持つ、水準以上の実用書である。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント