
儲かった金額以上に税金がかかった?
エイベックスの会長さんがフェラーリを売ったら多額の税金が来た、というポストが話題になっています。
今回は、5億円で買った車を8億円で売ったら、税金が3億4900万円もかかったそうで。
あれ?儲かったのって3億円のはずなのに、なんでそれ以上の税金がかかるのよという疑問が湧きそうです。
そこで、今回は、生活に通常必要ではない資産を売却した時の課税関係についてまとめてみることにします。
譲渡益は売った金額と買った金額の差額ではない
フェラーリのような「生活に通常必要でない資産」を売って、利益が生じた場合、譲渡所得として課税されます。
不動産や株式を譲渡したときには他の所得と合算されることなく、一定の税率が課される「分離課税」であるのに対して、生活に通常必要ではない資産を売った場合、他の所得と合算される「総合課税」であるという違いがあります。
では、この時の譲渡益はどのように計算をするのか。それは、
譲渡対価ー取得費
とされます。
この「取得費」というのは、その資産を取得するのに要した金額である「取得価額」とは異なります。取得費は以下の計算式で計算されるのです。
取得費 = 取得価額 ー 減価の額
この「減価の額」とは、時の経過に応じて価値が目減りした分であり、ざっくりと言えば減価償却費の累計額です。
譲渡対価から取得費を控除したものが、譲渡益であり、その取得費は取得価額から減価の額を差し引くのですから、結果的に、売った時の金額から買った時の金額を差し引いたものに減価の額を加えたものが、課税対象になるということです。
”食べた残り”のケーキを売ったのが譲渡益
では、なぜそのような計算をするのでしょうか?
例えば、ケーキを買ってきて、その一部を自分で食べたあとで、そのケーキを売ったとします。
その時の譲渡益は、いくらなのか。
自分で一部を食べたのに、それを無視して、買ってきた値段と比べるのはどうでしょう。
つまり、ケーキを買って一部を食べた部分(減価の額)を差し引いた残りを売ったのだから、売った金額から残っている部分を差し引いた金額こそがケーキを売った利益として譲渡益を計算すべきということです。
これが、事業用の資産であれば、その資産の取得価額を耐用年数で按分した減価償却費だけ、必要経費に算入されます。
その事業用の資産を売却したとします。
もし、売った時の金額から買った時の金額を差し引いてしまうと、減価償却費の分は、事業所得の必要経費となった上に、譲渡所得の計算上も控除がされるので、一度しかお金を出していないのに二重に経費として算入されてしまうでしょう。
なので、その時の譲渡益は、譲渡対価ー取得費(取得価額ー減価償却費累計額)とすることに違和感はないはずです。
*なお、非業務用資産の場合、減価の額は、法定耐用年数を1.5倍した年数を基準にして計算がされます。
必要経費になってもいない減価の額を加算するのはおかしい?
では、趣味の目的で乗ったフェラーリを売った場合はどうでしょう。
これまで減価償却費など、全く必要経費に算入されていません。
二重に経費計上されるわけでもないのに、この減価の額が譲渡益に加算されてしまうのは欠陥ではないのか。
実は、そうとは言えません。
よく考えてください。このフェラーリは、趣味で買って自分が乗っていたんですよ。
その費用である減価の額が、必要経費になるわけなどないじゃないですか。
そんなのどの趣味だって同じですよ。
それなのに、もし、趣味で買ったフェラーリの譲渡益の計算上、譲渡対価から取得価額全額を控除してしまったら、趣味のために要した減価の額が、譲渡益から控除されてしまうでしょう。
それは、ケーキを自分で食べた残りを売っているのに、自分で食べたケーキ代まで儲けから必要経費として控除しろといっているのと同じことなのです。
なお、この考え方は、自宅を売却したときも同じです。
自宅の譲渡益についても譲渡対価ー取得費(取得原価ー減価の額)とされます。
これは、減価の額が自分が住むためのコストであり、それを譲渡益から控除するのは理屈に合わないからです。
一見すると理不尽に見える課税も、冷静に考えるとそれなりの合理的な理屈はあったりするものなのです。

編集部より:この記事は、税理士の吉澤大氏のブログ「あなたのファイナンス用心棒」(2026年7月24日エントリー)より転載させていただきました







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