銀行の窓口は、なぜ午後3時に閉まるのでしょうか。よく聞く説明は、「3時以降に現金と伝票を照合するから」「銀行間の決済作業があるから」というものですが、これはおかしな説明です。

銀行員が閉店後に事務作業をするのは事実ですが、それは午後3時に窓口を閉める理由にはなりません。スーパーでもデパートでも、閉店後に売上や現金を確認します。実は銀行の午後3時閉店は、もっと歴史的な事情によるものなのです。
「9時から3時」は明治時代から
銀行の営業時間をめぐる歴史は驚くほど古く、1895年(明治28年)の銀行条例ですでに午前9時から午後3時までと定められていました。
戦後、大蔵省は法令通り営業時間を延ばすことも検討しましたが、銀行側では午後3時までの営業が定着し、1963年には法令が実態に合わせられ、午前9時から午後3時までとなりました。
今では3時に閉める必要はない
現在の銀行法施行規則にも、「銀行の営業時間は、午前9時から午後3時までとする」と書かれていますが、営業時間を延長できることも明記されています。2016年には規制が緩和され、より柔軟に営業時間を変更できるようになりました。
つまり現在では、「法律で3時に閉めなければならない」というわけではありません。午後4時まででも5時まででも、銀行側がそうしようと思えば営業できるのです。
銀行業界に残る「横並び文化」
海外に目を向けると、日本の午後3時閉店が必然ではないことがよく分かります。米国でも英国でも午後5時まで営業するのが普通です。日本のように、大手銀行から地方銀行まで多くの金融機関が一斉に「午後3時」を基準にする光景はありません。
では、なぜ規制が緩和された今でも午後3時閉店が残っているのでしょうか。理由の一つは、銀行業界特有の横並び文化です。銀行は長い間、護送船団行政のもとで、競争よりも業界全体の安定が重視されてきた歴史があります。午後3時閉店もその延長線上にあると考えると分かりやすいでしょう。
ネットバンキングが24時間使える時代に、銀行の店舗だけは明治時代にルーツを持つ午後3時閉店を続けています。銀行のシャッターを見ると、そこには最新の金融理論ではなく、日本の金融行政と銀行業界の古い歴史が刻まれているのです。







コメント