いざなみ景気を超えて戦後最長の好景気になりそうだと報じられていますが、一方で「この物価高、どうにかしてほしい」という声があるのも事実。ただ、ここはメディアの報道に騙されやすい部分で街角インタビューで実感こもごも「生活が大変で…」という声を聞くと皆が共鳴して「そうだ、そうだ!」の大合唱になります。

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以前申し上げたように比較的しっかりしたところにお勤めの方はこの5年ぐらい賃金上昇が続き、業種によっては賞与も大盤振る舞い、挙句の果てに株高、不動産高で臨時収入が入っている人も多いはずです。そういう方に「景気はどうですか?」ときけば「ボチボチでんな」という関西弁がその真意を表しているとも言えます。つまりお金がある人もぐっと抑えて皆に同調するようにまぁまぁだなとは言うものの実はホクホクという方は多いのです。
ところが私が最近、日本に行く度に宿泊予約をするときに「おおっ、高い!」と思わず焦ってしまうことが増えました。熱海に一泊旅行なんて言えばおひとり様3万円也は当たり前。これはヤバいと思い、一駅隣の湯河原をみても海から遠かったりして魅力無し。いっそ伊豆半島にまで足を伸ばすかと考え、廃れてしまったあの伊東温泉もご立派なお値段。
そんな時、日経夕刊のプロムナードに松永K三蔵氏が「ホテルはアザーサイド」と銘打った寄稿が目に留まりました。松永氏は「バリ山行」の著者として有名な小説家なのですが、氏は寄稿の中で、かつての東京出張は8000円程度で泊まれたものが今や数万円になり、楽しくないので郊外で安宿を探して不健康そうなものを食し、更にコンビニで好きなものを買い、そのあとは一歩も外に出ない自分だけの時間を満喫するのが楽しくてしょうがないと記しています。
日本人はディズニーのようなテーマパークから随時開催される各種イベント、更にはコンサート系など、一種の非日常 兼 お祭りごとは大好きで、そこには尋常ではない数の人が集まります。当然、チケットも取れず、仮に入場しても大行列でへとへとになってしまうのです。
私の長年の仕事仲間にいわゆる元祖ノマド族のような男がいるのですが、彼は携帯自転車を片手に人生を謳歌しています。こういう人生もあるのだな、と思わせます。誰にも束縛されず好きなところで好きな時間に仕事をしています。自分の会社を持ち、オンラインで完結する業務が大半なので今、彼が地球上のどこにいるかはいちいち確認しないとわかりません。その彼と先日飲んだ時、「日本には絶対に戻ることはない」と。面倒な人間関係が嫌なのでしょう。そしてカナダ人を「金をかけないで遊ぶ天才」と称しているのです。
ここは私も激しく同意で、このバンクーバーで金をかけたライフをしたいというのはバンクーバーの本質をほとんど理解していないと思います。外食しても「旨くない、安くない、楽しくない」の三拍子が揃っているのでそれよりも夕方、パティオで太陽を浴びながらビールを飲んでいればつまみが安物の巻物寿司でも旨く感じるのです。バンクーバーでは遊びをクリエートすることが求められるのです。
私の家はスタンレーパークという日比谷公園の25倍ある原生林の公園に隣接しています。最近、私のビジネスパートナーとここを歩きながら仕事の話をするのにハマっています。いわゆる定例のやり取りなのですが、テーブル越しに面と向かうよりこの公園の中のトレイルを縦横に歩き、約2時間、10㌔をこなしながら話す方が想像力も問題解決の糸口も見つかりやすいのです。なぜか、といえば歩く以外他に雑念が入らないので話に集中できるのです。我々の新しい案件はこのパワーウォークから創造されるわけです。
インターンシップで来ていた学生が「米だけは実家から送ってくるのだけど金がなくて何も買えない時はご飯に醤油だけかけて食べている」と。いまだこんな学生いたのか、と思い、「家にバターかマーガリンがあればそれを上に載せてレンジでチンしたらバターライスになるから醤油味が引き立つぞ」と教えてあげました。こんなありあわせの生活の知恵は私の生活もいい加減だからついたわけで、先日も冷蔵庫の中のものをほぼ食べつくし、白菜だけが少々居心地悪そうに座っておりました。見事にすっからかん。それでも何か作り出す創造力で「いと楽し」。
街角景気とは完全に隔離された生活だけども充実したライフを過ごせているのは何も楽しいことがないカナダが作り出したイマジネーション力と自分の価値観のメリハリなのだと思います。一種のサバイバルライフのようなものでありますが、慣れると日本の生活は甘美すぎでカナダのワイルドさがたまらない魅力になってしまうところが怖い点でもあります。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年9月13日の記事より転載させていただきました。







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