13日投開票の沖縄県知事選で、3選を目指した玉城デニー氏(66)が、新人の古謝玄太氏(42)に約14万7000票もの大差で敗れた。古謝氏は42万票を超え、沖縄県知事選で過去最多の得票となった。自民側の県政奪還は12年ぶりである。

演説する玉城デニー知事 同知事動画より
玉城氏は落選後、「結果を受け止めるのが民意」としながら、選挙期間中の誹謗中傷やデマを問題視した。しかし、14万票を超える差を情報戦だけで説明するのは無理がある。むしろ出口調査を見ると、敗因はかなりはっきりしている。
「基地」より「経済」だった有権者
投票先を決める際に最も重視した項目は「経済の活性化」が約50%だったのに対し、「基地問題」は約21%にとどまった。
しかも経済を重視した人の約8割が古謝氏に投票し、基地問題を重視した人の約7割が玉城氏を選んだ。争点ごとに支持層がきれいに分かれたのである。
つまり玉城氏は、自分が得意とする基地問題では勝った。しかし、その基地問題そのものが選挙の主戦場ではなくなっていた。
8年前と同じ戦い方では勝てない
玉城県政は辺野古移設反対を最大の政治テーマとしてきた。それ自体は一つの立場であり、選挙で訴えることに問題はない。
しかし県民の日常は基地問題だけでできているわけではない。物価高、所得、雇用、道路や水道などのインフラ、農業や漁業といった生活に直結する問題がある。
8年間知事を務めれば、有権者から問われるのは「何に反対したか」だけではなく、「何を改善したか」である。
選挙戦で「平和」や辺野古反対を繰り返しても、暮らしがよくなったという実感がなければ票には結びつかない。
辺野古事故、世代交代も重なったか
3月に辺野古沖で発生した船の転覆事故も、選挙戦を取り巻く議論の一つとなった。平和学習中の高校生ら21人が乗った2隻が転覆し、高校生1人と船長1人が死亡した事故で、船は辺野古移設に反対する市民団体が運航していた。
事故そのものと知事選の結果との因果関係は確認できないが、SNSでは基地反対運動のあり方や安全管理を疑問視する声も相次ぎ、従来の「基地反対」を軸とする政治運動への評価と重ねて論じる投稿が目立った。
今回の大差をSNS上の「デマ」や情報戦だけで説明することは難しい。出口調査からは、経済や暮らしを優先する有権者の増加、とりわけ若い世代の古謝氏支持が浮かび上がる。そこに8年間の県政への評価や世代交代を求める意識など、複数の要因が重なったとみられる。
古謝氏は当選後、「沖縄を前に進めていきたい」と語った。
有権者が今回の選挙で示したのは、基地問題だけでは測れない沖縄県政への要求だった。約14万7000票という大差は、県民が考える「前進」の中身が変わりつつあることを示したともいえそうだ。
敗因を外に求めても票は戻らない
もちろん、選挙で虚偽情報や誹謗中傷が許されるわけではない。しかし敗北直後にそれを強調すれば、「自分たちの県政への評価を振り返っていない」と受け取られる。
今回の大差は、単なる候補者同士の人気の差ではない。経済や生活を重視する有権者と、基地問題を中心に据えてきた玉城県政との間に生じたズレが、8年間で大きくなった結果ではないか。
古謝氏は当選後、「沖縄を前に進めていきたい」と語った。
県民が今回選んだ「前進」とは、基地問題を忘れることではない。基地問題だけで県政を語る時代から先へ進むことだったのかもしれない。







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