ポリコレ的お花畑の裏側で起きていること『日本の常識は欧米の非常識』

日本人の海外幻想とメディアの罪

アゴラでもお馴染みの谷本真由美日本の常識は欧米の非常識 新聞やテレビでは学べない世界の現実』(コアマガジン)を読んで驚くのは、いまだに日本のマスメディアやインターネットの世界では、海外は素晴らしいところだというお花畑のような幻想が垂れ流されているという現実と、実際の欧米社会とのギャップだ。


日本の常識は欧米の非常識 新聞やテレビでは学べない世界の現実

北米や欧州に行けば人種差別など存在せず、福祉が充実し、女性やマイノリティの権利が完璧に守られているというお決まりの物語がまかり通っている。しかし、谷本が描き出すように、実際に長く海外で暮らしてみれば、それがまったくの作り話であり、むしろ深刻な現実が隠されていることに気づく。

テレビや新聞は都合の悪い現実をひた隠しにし、海外の表面的な美しさばかりを強調する。その結果何が起きるかといえば、日本の人々は自分たちの国を過剰に卑下し、欧米の基準こそが絶対正義だと思い込まされてしまうのだ。本書は、こうした情報操作とも言える状況に対して、強烈な警鐘を鳴らしている。現実を直視しなければ、日本が向かうべき方向も見えてこない。

映画賞に見るいびつな権力構造

冒頭で取り上げられている近年の映画賞の授賞式などを見ても、そのいびつさは明白だ。かつては純粋に作品の質や演技力が評価されていたはずの舞台が、いまったすっかりポリコレ的配慮の道具に成り下がっている。賞を取るための条件が作品の面白さではなく、どれだけ多様性の枠にハマっているかになってしまっているのだ。

授賞式の会場では、アジア系の受賞者に対するあからさまな冷遇や無視が横行している。表向きは多様性や差別の撤廃を叫びながら、その実態は白人中心の傲慢な構造のままであり、都合のいい時だけマイノリティを利用しているにすぎない。ネット上で炎上が起きるのも当然であり、人々がその偽善性に気づき始めていることの表れだと言える。

模範的な移民が直面する理不尽

東アジア系の移民は、どの土地に行っても勤勉で、犯罪率も低く、高い収入を得ている模範的な存在であると本書は指摘する。しかし、現実にはその真面目さゆえに、かえって現地で不条理な扱いを受けることが多い。権利を声高に主張せず、暴力を振るうこともないため、職場や社会の中で都合のいい雑用を押し付けられがちだ。

さらに、メディアや社会の偏った視点によって、東アジア系は都合のいい時にだけ利用され、普段は透明人間のように扱われるか、あるいは不当な差別の対象にされ続ける。これでは、いくら努力しても報われないという不満が溜まるのは当然であり、ポリコレを隠れ蓑にした偽りの平等の裏で、本当の不条理がまかり通っているのである。

オタクカルチャーと表面的な偽善

一方で、日本の漫画やアニメ、特撮といったカルチャーは、世界中の若者たちの間で圧倒的な人気を誇っている。現地のエスタブリッシュメント層やいわゆる意識高い人たちは、こうしたポップカルチャーを低俗なものとして見下す傾向があるが、実際の現場では多くの人々が熱狂している。

海外で集合写真を撮るような場面でも、とりあえずポリコレに配慮してポーズをとるだけで、本心では何の敬意も払っていないということがよくある。結局のところ、彼らの言う多様性や配慮というのも、その場しのぎのパフォーマンスにすぎず、本当の意味での相互理解にはほど遠い。

本書を読むことで、私たちは海外からの薄っぺらな評価や情報に惑わされることなく、もっと冷静に現実を見つめ直す必要があると思い知らされるのだ。メディアが報じないこの不都合な現実を知ることから、ほんとうの国際理解は始まるのである。


日本の常識は欧米の非常識 新聞やテレビでは学べない世界の現実

【目次】
cese01 日本人が知らない欧米の東アジア人差別の実態
cese02 幸せアピールしてる欧米在住の日本人は本当に幸せなのか
cese03 日本に比べて娯楽が何もない欧米の退屈な日常
cese04 小学生にも薬物が蔓延する欧州の惨状
cese05 欧米の子育てにしつけは皆無 子供はやりたい放題のカオス
cese06 日本なんて比べ物にならない格差・階級が固定された欧米
cese07 入管法改正で騒ぐ左翼が知らない日本より外国人の人権ゼロな欧米諸国の現実
cese08 欧米人がいかに共産党を嫌いか日本人は知らない
cese09 行ったら激烈に後悔するショボすぎる欧米旅行先
cese10 北欧を好きな情弱が知らない北欧の真実
cese11 パレスチナ・イスラエル戦争 両者の対立を生んだ元凶の欧州はどう考えているのか

imaginima/iStock

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