難関国立大でも面接・書類重視の「総合型選抜」入試拡大で階級固定化を心配する声

東北大学や東京大学などの難関国立大学で、筆記試験の点数だけでなく、面接や志望理由書、活動実績などを総合的に評価する入試が広がっているという。

【参照リンク】難関国立大学の入試「脱・学力一辺倒」 東北大や東大、面接・書類重視 日本経済新聞

推進する大学側は、主体性や思考力、研究への意欲など、試験の点数だけでは測れない能力を見るためだと説明する。実際、東大の学校推薦型選抜は全定員の3%程度であり、東北大のAO入試でも学力試験を組み合わせる方式が多い。総合型選抜だから「学力を見ない」という単純な話ではない。

「同じ問題を解く」公平さ

それでもSNSでは、「貧乏人が真っ当に成り上がるチャンスを奪う」といった批判が相次いでいる。

筆記試験中心の入試にも塾や中高一貫校など家庭の経済力は影響する。しかし最後は、同じ日に同じ問題を解き、同じ基準で点数を競う。地方の公立高校の生徒でも、独学で高得点を取れば難関大学に入れるという単純明快さがあった。

一方、総合型選抜では、海外留学、ボランティア、探究活動、コンテストなどの「経験」が評価材料になる。そこには家庭の所得や親の情報量、学校環境の差が反映されやすい。

しかも総合型選抜が普及すれば、当然そこにも受験産業が参入する。志望理由書の添削、面接指導、探究活動の設計まで塾や専門業者が対策するようになれば、結局は費用をかけられる家庭ほど有利になる。

数学の100点は誰が見ても100点だが、「主体性80点」を取る方法は塾で教えてもらえるかもしれないのである。

「親ガチャ」を入試に持ち込まないか

そもそも東大生は、すでに高所得世帯に偏っている。東大生の世帯年収調査では、1050万円以上が42.5%を占めるとされる。

一般入試だけでも家庭環境の影響が大きいのに、さらに経験や自己表現力まで評価対象に加えれば、その差を拡大する可能性もある。

家族を介護しながら勉強するヤングケアラーと、夏休みに海外研修へ行き、専門塾で志望理由書まで添削してもらえる高校生を「活動実績」で比べることが、本当に公平なのだろうか。

大学も「選ばれる側」になった

もっとも、大学が総合型選抜を増やす理由は教育理念だけではない。

受験市場では総合型・学校推薦型による「年内入試」が急速に拡大している。優秀な高校生が秋までに他大学への進学を決めてしまえば、一般入試まで待ってもらえない。

少子化のなかでは、難関国立大学も学生を一方的に選ぶだけの存在ではない。総合型選抜を用意しなければ受験生に敬遠されるという大学間競争の圧力も、制度拡大の背景にあると考えるべきだろう。

東大の赤字と「学力だけではダメ」という空気

そこに大学経営の問題も重なる。

東大は2022年度に約51億円の経常赤字を計上し、2023年度も大学側の説明では実質約40億円の赤字だった。さらに2025年度決算では経常赤字39億円、当期総利益は57億円の赤字となった。東大自身も物価高や人件費上昇によって財務環境が厳しくなっていると認めている。

もちろん、赤字だから総合型選抜を増やしているわけではないし、従来の受験エリートが経営するから赤字になっているとも断定はできない。

しかし、大学が国際競争、寄付集め、産学連携、学生獲得まで求められるようになれば、「学力だけで学生を選ぶ古い大学ではいけない」という改革ムードは強くなる。その結果、筆記試験中心の入試まで「時代遅れ」とみなす空気が作られていないだろうか。

総合型選抜には利点もある。だが、豪華な経歴や磨き上げられた志望理由書を評価する制度になれば、試験一発主義より公平とは限らない。

東北大学HPより

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