混乱する中東の行方はどうなるのか?

フーシ派が2日続けてサウジの首都リアドの国際空港を攻撃、多数の犠牲者が出ており、空港も閉鎖されています。フーシ派がサウジの要衝を本格的に攻め入れば中東経済が大混乱に陥り、石油を通じた世界経済に大打撃を与えることになります。極めて深刻な状況にありますが、果たして世界にどう影響するのでしょうか?

サウジはアメリカと非常に近い関係にあり、当然ながらトランプ大統領に「泣きついた」のですが、トランプ氏も「検討使」状態で気持ちと行動が一致しなくなってきています。トランプ氏が躊躇している理由はいくつかあると思います。最大の理由は3週間後に迫る中間選挙に対して今から新たに戦線の陣頭指揮を執る余裕はほぼゼロであること、2つ目はサウジが陥っている最大の問題は武器不足、特にパトリオットミサイルが不足しているとされるのですが、アメリカも不足しており、そう簡単にYESと言えないことがあります。サウジではそんな状況のため、国内最重要中の最重要な王室とか石油施設にパトリオット配備を絞らざるを得ず、他が完全に手薄状態になっています。3つ目はより大局的に見てアメリカがフーシ派との闘いに出ると中東戦争の泥沼にはまっていく可能性が高いことがあります。以前から何度か申し上げたように歴史的にアメリカは戦争は強くないのです。

では3週間待ってトランプ氏がつぶやいた「イラン攻撃を再開するかも」は実現するか、といえば選挙結果次第ですが、個人的にはその可能性はより薄いとみています。トランプ2.0がスタートした時、このブログでトランプ氏が活躍できるのは1年目、つまり25年のみで26年は中間選挙を意識するだろう、3年目はジンクス的に議会で逆転現象が起きやすいのでそれが起きれば早期のレームダック化となり、4年目は混乱すら起きるとみていました。あれから2年経った今、私が思うのはトランプ氏の判断力が以前にも増して鈍っていること。ここから類推するとイラン攻撃なりフーシ派攻撃をトランプ氏がきちんとした体制と方針をもって行えるとは思えないのです。

トランプ大統領 ホワイトハウスHPより

仮に今の中東の混乱に対してアメリカが有効的な抗力を発揮できないとすればどうなるでしょうか?イランはシーア派の存在意義を示すために戦闘というより石油利権の支配を望むのではないかと思います。戦争とはかつては領土を増やすことが主眼でしたが、イランは経済制裁で苦しむだけにそこを打破するために対立するスンニ派の権力者的存在であるサウジアラビアとディールをしたいのではないか、という気がするのです。最終的にはアメリカの影響力がない中東の時代を築きたいのでしょう。

ここで重要になってくるのがサウジを中心としたオイルマネーの行方です。少し飛躍的な話になるかもしれません。サウジは石油依存体質から脱して包括的変革を目指す「ビジョン2030」を推進中で莫大な資金が動いています。しかし、国際社会から見て経済の安定成長とは政治の安定が再前提であり、このように簡単に首都にある国際空港がダメージを受けるならば投資を考える他国からすれば「ちょっと待てよ」ということになります。

次いでサウジの外貨の稼ぎどころである原油の輸出についてその輸出ルート確保が厳しくなるばかりか、価格高騰という問題を抱え、思った通り稼げないとなれば通常考えられるのは海外にばら撒いた投資資金のレパトリエーション(資金還流)であります。特にAI関連への投資の多さ、ソフトバンクGが運営するビジョンファンドあるいは日本企業への個別投資などが今後不安定になってくれば対岸の話どころではなくなるのです。つまり世界経済混乱の引き金になるとも言えるのです。

もう1つは日本が原油を安定的に入手するために莫大な資金が使われている点が国民には見えていない点です。現在、日本は原油輸入をアメリカにシフトしており、依存率は1/3を超えてきています。問題はその調達はスポット買いであり、先物価格に比べ相当のプレミアムが乗ってきています。北海原油ほどではないにせよ、今後、冬を迎えるにあたり需給がひっ迫するとみられています。現在、日本が買っている原油は1リットル当たり117円程度。ここから精製するなどのコストを加えると政府の支援なしだと220円ぐらいになるとされます。

現在、政府はガソリン価格を抑えるために補助金を投入しながら必死の防戦をしていますが、現在の補助金は10月末までです。政府判断はここで170円を維持するために引き続き莫大な税金(月によっては3000億円以上)を使う気があるのか、それとも170円を180円とか185円に引き上げるのかの瀬戸際になります。こうなると食品消費税の話どころではない大騒ぎの話なのですが、なぜかそれを誰も言わないのが不思議なメディアと政治の世界であります。

混乱する中東の行方、それはへたすると日本の混乱にもなりかねないということであります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年10月13日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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