
10月12日、群馬県庁の県民広場などで開催された「ぐんまちゃんアイドルフェスティバル」で、アイドルグループ「FES☆TIVE」のライブが途中で中断される騒動が起きた。
スポニチなどの報道によると、公演中に一部の観客による「モッシュ」などの禁止行為が確認され、主催者側が公演を中断したという。
モッシュとは、ライブ中に観客同士が激しく体をぶつけ合う行為で、転倒や負傷につながるおそれがある。
今回のイベントでは、モッシュやダイブ、リフトなどの行為が明確に禁止されていた。それにもかかわらず、一部の観客がルールを守らなかったことで、ライブが中断する事態となった。

FES☆TIVEの公式facebookから
「規制に縛られない本物の祭」が波紋
騒動後、FES☆TIVEは公式Xで、ライブの中断について「主催者様の判断によるもの」と説明し、来場者に謝罪した。
【本日のライブ中断について】
本日の公演において、ライブが途中で中断となりました件につきまして、今回のライブ中断は、主催者様の判断によるものでございました。
ご来場いただいた皆様には、突然の中断によりご心配と混乱をおかけしましたことをお詫び申し上げます。近日中に規制に縛られない本物の”祭”を企画しております。
何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。
— FES☆TIVE (@FESTIVEofficial) October 12, 2026
ところが、その後に続いた一文が新たな波紋を呼んだ。
近日中に規制に縛られない本物の“祭”を企画しております
この発言に対し、SNSでは安全確保のための規制を批判するかのような表現への疑問や、ルールを破った観客の責任を指摘する声が上がった。
一方、SNSには、ほかの公演でも同様の行為が見られたとする投稿もある。ただし、主催者が各公演でどのように対応していたのかは明らかになっていない。
FES☆TIVEは「お祭り系」を掲げるアイドルグループである。激しく盛り上がるファンとの一体感は、その魅力のひとつなのだろう。
グループ側が危険行為を容認する意図で発言したかどうかは不明だ。しかし、自由なライブを目指すことと、観客の安全を確保することは両立させなければならない。
主催者は群馬県、安全確保は当然だが……
今回のイベントで重要なのは、主催者が群馬県だったことである。
群馬県の発表によると、イベントは若者を呼び込み、群馬の魅力を発信することを目的に開催された。一般入場は無料で、ファミリーエリアや女性優先エリアも用意されていた。
つまり、熱心なアイドルファンだけが集まるライブハウスとは、そもそも性格が違う。
家族連れやイベント初心者も訪れる公共性の高い会場で、観客同士が激しく衝突する行為を放置するわけにはいかない。
事前に禁止事項が明示されていた以上、主催者が危険行為を確認して公演を中断したことには一定の合理性がある。
ただし、疑問も残る。
イベントの参加規約では、モッシュなどの禁止行為が確認された場合、違反者を退場処分とすることが明記されていた。
それなら、なぜ違反者を退場させるのではなく、公演全体を中断する判断に至ったのだろうか。
もちろん、混雑した会場では違反者を特定して退場させることが難しく、即座に公演を止める必要が生じる場合もある。しかし、今回どのような警告や対応が行われたのか、詳しい経緯は明らかになっていない。
主催者には、安全を確保する責任とともに、公演を中断した判断について説明する責任もあるだろう。
ライブを壊したのは誰なのか
今回の騒動は、アイドル文化が抱える難しい問題を浮き彫りにした。
ライブを盛り上げる常連ファンの存在は、アイドルにとって心強い。一方で、その常連だけのルールやノリが優先されれば、初めて訪れた観客は安心して楽しめなくなる。
盛り上がることと、他人に迷惑をかけることは同じではない。
一部の観客がルールを無視した結果、ライブが中断されれば、最も損をするのはステージに立つアイドルと、普通に楽しもうとしていたファンである。
「規制に縛られない本物の祭」という言葉には、自由なライブ文化を守りたいという思いが込められているのかもしれない。
しかし、本当に自由な祭を実現するためには、誰もが安心して参加できるルールが必要だ。
今回の中断を単に「規制が厳しすぎるから」と片づけることはできない。
まず問われるべきはルールを破った観客の責任である。同時に、主催者には違反行為をした個人への対応や公演中断の判断について、丁寧な説明が求められる。
観客の安全を守りながら、ライブの熱狂も守る。その両立こそが、主催者とファンの双方に求められているのではないか。







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