- 消費税減税への賛成は、財源について一言添えるかどうかで70%から36%まで動きます。同じ時期、同じ国民に聞いてこれです。
- 廃止を掲げる4党(参政党・いのちの党〈旧れいわ〉・共産党・社民党)の支持は、NHK調査で合計5.8%。共産党を除けば3.2%。
- 国民の多数派は「将来世代の負担になる減税には反対」。廃止派の武器は、そのツケを見せないことです。
- 一番マシに見える共産党の「30兆円の財源」も、廃止の財源ではなく5%への減税+歳出増の財源。しかも静的な足し算です。
- MMTの本家ですら「インフレ2%を超えたら国債発行をやめる」と言う。政策で押し下げた分を戻すと、日本の物価上昇率はすでに2%超え。長期金利は3%台。
- 参政党の周辺にいる日本版MMT(三橋貴明氏ら)は、2019年にMMT本家ケルトン教授の側から距離を置かれています。
- そして与党も同じ穴のムジナ。食料品1%は2年で約10兆円、財源は先送りです。

こんにちは。永江です。
SNS、とくにリテラシー低めのThreadsでは「消費税なんて要らない、すべての悪は消費税のせいで消費税がなくなればみんな幸福になる」と吠える人がいます。
ヘルマン・ゲーリング(ナチス幹部)
「国民を指導者の言いなりにするのは簡単だ。攻撃されていると告げ、反対する者を非国民だと非難すればよい」
つまり消費税が全て悪い。不景気も、低賃金も、少子化もなにもかも消費税のセイダーというのはこの手法にまんまとはまっているわけです。G7でもっとも賃金が低い日本が最も消費税率が低いだけでプロパガンダと分かりそうなものなのに・・・・。
消費税以外にも
自民党
左翼
オールドメディア
外国人
財務省
中国
アメリカ
大企業
などを仮想敵にしている政党がいくつもありますね、
NHKの10月の世論調査を見ていて、ふと計算してみました。消費税の廃止を掲げている政党の支持率を足すとどのくらいになるのか。

参政党2.6%、共産党2.6%、いのちの党(旧れいわ新選組。2026年8月に改称)0.3%、社民党0.3%。合計5.8%。共産党を除くと3.2%です。
ざっくり20人に1人。思ったより多いと見るか少ないと見るかは人それぞれですが、わたしが気になったのは「この人たちは本当に廃止できると思っているのか?」ということ。で、世論調査を片っ端から当たってみたら、もっと面白いことがわかりました。財源の話を一言入れるだけで、消費税減税の賛否がひっくり返るんです。
なお国民民主党(条件付き5%)と日本保守党(食料品ゼロ)は「廃止」とは言っていないので、今回は対象外にしています。
2025年6月30日、産経・毎日・読売・日経の4紙がそろって消費税減税の世論調査を載せました。野村総合研究所の木内登英さんがこれを並べて比べています。結果がこれ。

| 新聞 | 減税側の割合 | 質問の聞き方 |
|---|---|---|
| 産経 | 70.0% | 現金給付と消費税減税のどちらがよいか |
| 毎日 | 55% | 給付金案と消費税減税案の比較 |
| 読売 | 50% | 消費税は法律で社会保障に充てると説明したうえで |
| 日経 | 36% | 「赤字国債を発行してでも」減税すべきか |
同じ週に同じ日本人に聞いているのに、70%と36%。倍近い差です。木内さんも差の大部分は質問の仕方によるものだと見ています。
並べてみると一目瞭然で、「給付と減税どっちがいい?」と聞けば減税が圧勝し、「社会保障の財源ですよ」と添えれば五分五分になり、「借金してでも?」と聞けば少数派に落ちる。財源が見えた瞬間に、人は冷静になるんですよね。
逆にいえば、消費税廃止を掲げる政党にとって一番まずいのは、この「一言」を有権者に意識されること。だから財源をはっきり言わない。言った瞬間に賛成が半分になるんだから当然ですw ところで髙市さんもいつまで食品の消費税率1%どころか高校無償化の財源についてはいいませんよね。
もう少し新しい調査も見ておきます。
三菱総合研究所が2026年5月に出した調査では、「将来世代の負担になる減税には反対」に賛成56%、反対15%。圧倒的です。ところが同じ調査で「ずっと消費税ゼロ」にも約4割が賛成している。
つまり同じ人の頭の中で「減税してほしい」と「孫にツケは回したくない」が同居しているわけです。この矛盾に気づかせないことが、廃止派の勝ち筋です。2025年5月の日経調査でも、税率維持55%に対し「赤字国債を発行してでも下げる」は38%でした(報道ベース)。
もうひとつ面白いのが、時事通信の2026年8月調査。食料品の消費税を実質ゼロにする方針について、全体では賛成49.1%・反対31.6%でした。支持政党別に見ると…
| 支持層 | 賛成 | 反対 |
|---|---|---|
| 自民党支持層 | 65.9% | 23.3% |
| 参政党支持層 | 61.1% | 27.8% |
| 共産・中道・立憲・みらいの各支持層 | 反対寄り | ― |
| 全体 | 49.1% | 31.6% |
一番乗っているのは自民党支持層。そして共産党は消費税減税をずっと看板にしてきたのに、その支持層は反対寄り。支持者のほうが党より冷静、という皮肉な結果です。
では各党は財源をどう説明しているのか。公式の政策資料で確認できた範囲で並べます。
| 政党 | 消費税 | 財源の説明 |
|---|---|---|
| 参政党 | 消費税廃止(2026年公約) | 数値の財源表は公約で確認できず。同時に国民負担率46%→35%、0〜15歳に1人月10万円、GDP1,000兆円も掲げる |
| いのちの党(旧れいわ) | 廃止 | 「税だけが財源」はウソ、という立場。国債発行が前提 |
| 共産党 | まず5%に、その先に廃止 | 5%減税16.3兆円を含む総額30.0兆円の財源表あり(④で検証) |
| 社民党 | 消費税ゼロ | 大企業・富裕層課税など。金額の内訳は確認できず |
参政党は消費税を廃止して、さらに社会保険料も下げて、子ども1人に月10万円配る。全部同時にやるつもりらしい。消費税だけで国と地方で約30兆円規模の穴が開くのに、その上に支出を積み増す。財源表が出てこないのは、出したら成立しないからでしょう。実現不可能ってことが分かって言っている。試算してみたら単なる妄想ですからね。
いのちの党は割り切っていて、税は財源ではない、国債を出せばいいという立場。これは後で本家MMTの基準に当ててみます。
ここで共産党です。財源を数字で示しているのは4党で共産党だけ。そこは認めます。ただ、中身を見ると話が変わります。
| 財源項目 | 年間見込額 |
|---|---|
| 法人税率を28%に引き上げ | 4.3兆円 |
| 大企業優遇税制の廃止・縮減 | 10.0兆円 |
| 株式譲渡益・配当課税の強化 | 2.2兆円 |
| 所得税等の最高税率引き上げ | 1.4兆円 |
| 富裕税・為替取引税の創設 | 3.2兆円 |
| 消費税減税に伴う歳出減 | 2.4兆円 |
| 軍事費等の削減 | 6.4兆円 |
| 合計 | 30.0兆円 |
この30.0兆円は「消費税を5%に下げる」16.3兆円と、ほかの歳出増を合わせたもの。廃止の財源ではありません。廃止まで行くなら、残りの5%分がまるごと上乗せになります。
法人税率を上げて、同時に大企業向けの優遇税制を10兆円削る。それぞれの税収見込みを単純に足していますが、税金を重くすれば企業の投資や利益の置き場所は変わります。資本は国境を簡単に越える時代です。各国が法人税で企業を呼び込もうと競っているなかで、日本だけ重くして税収が見込みどおり入ると考えるのは、さすがに楽観的すぎる。軍事費等の6.4兆円削減も、代わりの防衛政策と時期が示されない限り「財源」とは呼べません。
一番笑ったのがここ。共産党の2025年の政策文書は、減税を赤字国債でまかなえばインフレを招き、暮らしが「めちゃめちゃ」になると自分で警告しているんです。
その通り。で、自分の財源表は上のような足し算。他党の「国債でいい」を素人扱いしながら、自分も経済が回るかどうかの検証はしていない。数字があることと、その数字が実際に入ってくることは別です。
参政党やいのちの党の「国債を出せばいい」は、いわゆるMMT(現代貨幣理論)的な発想です。ただ、これが通ったのは国債金利がほぼゼロだった時代の話。
いまは違います。10年国債の利回りは2026年9月1日に3%を超え、9月25日には3.115%。10月6日には10年国債の表面利率が3.1%に設定され、約30年ぶりの水準になりました(報道ベース)。2年で10年国債の金利はこんなになりました。政府が発行した国債の平均償還は8.5年です。
ただ同然の時に発行した国債を毎年100兆円以上高い金利の国債と借り換えるので来年の金利払いは13兆円。2040年には50兆円に近づきます。税収の半分が国債の金利で飛ぶわけです。MMTはとっくにオワコンなのです。

単純計算をしておきます。消費税30兆円分を毎年国債で埋めると10年で300兆円。それに3%の金利がつけば、利払いだけで年9兆円。発行時期や償還の条件で実際の負担は変わりますが、「タダで配れる」話ではまったくありません。
MMTの代表的な論者の一人、オーストラリアのビル・ミッチェル教授は、自身のブログで、インフレ率が2%を超えればMMT論者は国債発行を止めるという趣旨のことを書いています。MMTは「いくらでも刷れる」理論ではなく、インフレが天井という理論なんです。
では日本の物価は? 2026年8月の消費者物価指数(総合)は前年同月比1.9%。2%を下回っているように見えます。ところがこの数字、政策で押し下げられています。

| 品目 | 前年同月比 | 総合への寄与 |
|---|---|---|
| 私立高校授業料(無償化) | −73.2% | −0.15ポイント |
| ガソリン(減税など) | −2.6% | −0.05ポイント(政策効果の試算は−0.38) |
| エネルギー全体(政策効果の試算) | ― | −0.62ポイント |
| 診療代(高額療養費の見直し) | +3.2% | +0.07ポイント |
高校授業料とガソリンをまるごと除いて計算し直すと約2.1%。総務省自身が試算している政策効果を戻すと約2.4%、電気・ガスなどエネルギー全体の政策効果まで戻すと約2.7%。本家MMTの基準でいえば、もう国債発行を止める時です。
公平のために言っておくと、診療代は高額療養費の見直しで逆に+0.07ポイント押し上げています。これを除いても2%超えは変わりません。
もうひとつ。高校の授業料無償化で物価が下がっても、高校生がいない家庭には何の関係もありません。高校生のいる世帯は全体の5%程度。95%の家庭にとっては、存在しない値下げです。
ガソリンも同じ。日本自動車工業会の2025年度調査では、四輪車を持っていない世帯が26%。ざっくり4世帯に1世帯は、ガソリンが安くなって物価が下がったと言われてもピンとこない(この調査は今回からWeb調査に変わったので、過去の数字とは比べられない点に注意)。
つまり「1.9%」は、ほとんどの家庭が実感している数字より低い。生活実感としてのインフレはとっくに2%を超えている。この状況で「国債で30兆円」を言うのは、本家MMTの看板すら守っていないことになります。
では参政党の経済政策の背後にある「日本版MMT」は何なのか。ここに三橋貴明が出てきます。
2019年7月、MMTの顔ともいえるステファニー・ケルトン教授が来日してシンポジウムが開かれました。京都大学の資料には、協賛として「ケルトン教授招聘実行委員会(代表:三橋貴明)」と書かれています。
ところが同じ年の10月、ケルトン教授が関わるMMTのネットワーク(MMN)がFacebookで声明を出し、三橋氏、クライテリオン、「令和の政策ピボット」が関わるイベントには今後参加しないと表明しました。
ここで大事なのは理由です。経済理論の違いではなく、歴史修正主義などの政治的な言説が問題視されました。理論の解釈違いならまだしも、「この人たちと同じ壇上には立てない」という判断です。
ちなみにもう一人の本家ビル・ミッチェル教授は、2019年のブログで日本の一部保守派の歴史修正主義をホロコースト否定になぞらえて批判しつつも、藤井聡さんとの協力は続けました。2022年12月には京都大学で藤井さんと対談しています。なので「本家全員から絶縁」ではなく、ケルトン教授の側が三橋氏らと線を引いた、というのが正確なところです。
「令和の政策ピボット」の呼びかけ人の一覧には「シンガーsaya」の名前があり、メッセージ欄には「三橋経済塾の塾生になって3年」とあります。現在の参政党参議院議員、さやさんです。
三橋氏は自身のブログで、さやさん(東京選挙区)と、あんどう裕さん(比例)を全力で応援すると書き、さやさんの立候補の経緯の全体は自分しか知らないとまで書いています。安藤裕さんは現在、参政党の幹事長兼政調会長です。
2025年7月には、さやさんが三橋氏の会社である経世論研究所の社員だと産経新聞が報じました)。NEWSポストセブンの取材に対して三橋氏は、彼女について
「頭の中が『三橋貴明』だからね!」NEWSポストセブン(2025年7月24日)
と語っています。本家に距離を置かれた日本版MMTが、そのまま国政政党の経済政策の中枢に入っている。これが参政党の「消費税廃止」の正体です。
ここまで野党を叩いてきましたが、与党も人のことは言えません。
政府は2026年10月9日、食料品の消費税を1%に下げる法案を閣議決定しました。2027年4月から2年間で、減収は2年で約10兆円。財源は先送りです(共同通信)。
しかも自民党内にも慎重論・反対論は多かった。河野太郎さんは7月30日に反対を表明していましたし(アゴラ経由で確認)、党内の異論を押し切ったのは高市首相だと報じられています(日刊工業新聞8月6日、J-CAST)。
10月13日には公明党の岡本氏が「賛成できるわけがない」と述べ(中日新聞)、民主改革の会の長妻昭さんも法案に疑問を呈しました(産経新聞)。
②で見たとおり、この減税に一番乗っているのは自民党支持層です。「財源を言わずに減税」は、廃止派の専売特許ではありません。
世論調査が教えてくれるのは、日本人は財源の話をされれば冷静に判断できるということです。70%が36%になる。それだけ「ツケ」に敏感なんです。
だから、消費税廃止を掲げる政党には(ついでに与党にも)同じ質問を投げればいい。
廃止した翌年だけでなく、10年後も毎年約30兆円をどう確保するのか。成長で取り戻すなら、その計算式を見せてください。筆者
経済学の常識では減税で経済が回って成長で取り返すのは不可能です。ラッファー曲線でググって見てください。この質問に数字で答えられない政党の「廃止」は、先はどうなっても関係ないという空手形です。
【今日のどうでもいい話】
MetaAI Ray-Banグラスについてた眼鏡吹きがショボいので日本が世界に誇る東レの眼鏡拭き買ったら性能の違いに涙でたwww iPhoneとかiPadとかモニター拭いて回ったよ
- NHK世論調査の政党支持率(参政2.6%・共産2.6%・いのち0.3%・社民0.3%)=調査画面
- 野村総研・木内登英氏コラムの題名・公表日(2025年7月1日)
- 4紙の数値(産経70.0%・毎日55%・読売50%・日経36%)と質問文の違い、掲載日(2025年6月30日)
- 三菱総研2026年5月調査(56%/15%、「ずっとゼロ」約4割)
- 時事通信2026年8月調査(49.1%/31.6%、自民65.9%/23.3%、参政61.1%/27.8%、共産等は反対寄り)
- 共産党2026年総選挙政策の財源表(7項目・16.3兆円・30.0兆円)
- 共産党2025年政策の赤字国債への警告(「めちゃめちゃ」)
- 参政党2026年公約・選挙公報(消費税廃止、国民負担率46→35%、GDP1,000兆円、月10万円)
- れいわ(現いのちの党)基本政策の「税だけが財源はウソ」
- 総務省CPI 2026年8月分(総合1.9%、私立高校授業料−73.2%/−0.15、ガソリン−2.6%/−0.05、政策効果−0.38/−0.62、診療代+3.2%/+0.07、9月18日公表)
- 筆者計算の約2.1%・約2.4%・約2.7%(上記の公表値から算出)
- ビル・ミッチェル教授ブログ(インフレ2%超で国債発行停止)
- ミッチェル教授2019年ブログ(歴史修正主義批判と藤井氏との協力継続)
- ミッチェル教授と藤井氏の2022年12月京都大学での対談
- 京都大学資料の協賛表記「ケルトン教授招聘実行委員会(代表:三橋貴明)」(2019年7月)
- 令和の政策ピボット呼びかけ人「シンガーsaya」とメッセージ
- 三橋氏ブログ(さや氏・あんどう氏の全面支援、経緯は自分しか知らない)
- 日本自動車工業会2025年度調査(四輪非保有26%、Web調査への変更)
- れいわ新選組→いのちの党への改称(2026年8月)
- 日経2025年5月調査(維持55%/赤字国債でも下げる38%)
- 10年国債利回り(9月1日3%超、9月25日3.115%、10月6日表面利率3.1%・約30年ぶり)
- MMN声明(2019年10月、Facebook)=転載で確認
- 声明の理由が歴史修正主義などの政治的言説であること
- さや氏が参政党参議院議員であること
- さや氏が経世論研究所の社員(産経2025年7月)
- 三橋氏の発言「頭の中が『三橋貴明』だからね!」(NEWSポストセブン2025年7月24日)
- 安藤裕氏が参政党幹事長兼政調会長(選挙ドットコム)
- 食料品1%法案の閣議決定(10月9日、2027年4月から2年、約10兆円、財源先送り)=共同
- 高市首相が党内異論を押し切った(日刊工業8月6日、J-CAST)
- 河野太郎氏の反対表明(7月30日)=アゴラ経由
- 公明党・岡本氏「賛成できるわけがない」(10月13日)=中日
- 長妻昭氏の疑問(10月13日)=産経
- NHK世論調査の調査日
- 高校生のいる世帯が約5%(全国の高校生数の原典未確認)
- 消費税収が国・地方で約30兆円(最新の決算・予算値に未照合)
- 共産党の「将来は廃止」の公式文言
- 社民党「消費税ゼロ」の公約原典
- 公明党・岡本氏のフルネームと役職
- さや氏の2026年現在の経世論研究所在籍
- MMN声明の原文
- 「各国が法人税で企業誘致を競っている」という一般論(出典なし)
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2026年10月14日の記事より転載させていただきました。









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