はんにゃ川島はなぜすしを握るのか:テレビだけが芸人の居場所ではない

お笑いコンビ「はんにゃ.」の川島章良さんが、すし職人としても活躍しています。

10月14日、川島さんは自身のXに、相方の金田哲さんが経営するすし店を訪れたことを投稿しました。22年来の付き合いになる2人の写真には、コンビの交流を喜ぶ声や、川島さんの新しい仕事に驚く反応が寄せられました。

かつてテレビで大ブレイクした芸人が、今度はカウンター越しにすしを握る。このニュースを「テレビから消えた芸人の転職」と考えるのは早計です。

川島さんは芸人を引退したわけではありません。芸能活動と飲食店経営を両立させ、自分の働く場所を増やしているのです。

週2日のすし職人で年収1600万円

「はんにゃ.」は2009年ごろ、「ズクダンズンブングンゲーム」などのネタで人気を集め、テレビのバラエティー番組に引っ張りだこになりました。

お笑いコンビ「はんにゃ」
左:川島章良さん 右:金田哲さん
吉本興業HPより

しかし、芸能界の人気は長続きするとは限りません。ブームが過ぎれば出演機会も変化します。川島さんが新たに選んだのは、すし職人という道でした。

2025年9月から東京・恵比寿で「鮨 川しま」を営業。既存の店舗を間借りし、週2日、客を迎えています。

2026年5月17日放送のABEMA『ななにー 地下ABEMA』では、コース料金は1人2万5000円で、当時の予約は3カ月待ちだと紹介されました。

川島さんは、ブレイク当時の月収が500万円、芸歴21年間の平均年収が800万円だったと明かしました。そして現在の年収は、その倍の1600万円になったと説明しています。

【出典】テレ朝POST(5月18日)

ただし、この1600万円は芸能活動とすし職人の仕事を合わせた本人申告の年収であり、すし店だけの利益ではありません。

注目したいのは、週2日の間借り営業という方法です。大きな店舗を構えるより初期投資を抑えられる可能性があり、芸能活動を続けながら新しい事業に挑戦できます。

芸人の経験はすし店でも生きる

川島さんがすし職人を目指したきっかけは、すし店の大将から、カウンター越しの接客には場を盛り上げられる芸人が向いていると助言されたことだったそうです。

考えてみれば、芸人とすし職人には共通点があります。

相手の反応を読み、会話を楽しませ、その場の雰囲気をつくる。テレビや舞台で培った技術が、飲食店の接客にも生かせるのです。

もちろん、川島さんには全国的な知名度という強みがあります。無名の人が同じように開業しても、簡単に予約が埋まるわけではありません。

すし店には調理技術や仕入れ、衛生管理なども必要です。有名人だから成功できるという単純な話でもありません。

それでも、過去の経験を別の仕事に応用する発想は、多くの人に参考になるでしょう。

会社員が副業を始める場合も、それまでの経験を捨てる必要はありません。営業で培った対人能力や、専門職として蓄積した知識を、別の市場で生かす方法はいくらでも考えられます。

テレビに出続けることだけが成功なのか

今回、川島さんの店を訪れた金田さんも、俳優業などに活動を広げ、2026年には山梨県への移住を公表しています。

一方はすし職人、もう一方は俳優など別の分野にも挑戦しています。それでも「はんにゃ.」は解散していません。

かつて芸人の成功とは、テレビのレギュラー番組を何本も持ち、毎日のように画面に登場することだったのかもしれません。

しかし、テレビ出演は視聴率や番組改編、流行に左右されます。芸能界だけに収入を依存することにはリスクもあります。

別の仕事を持つことは、芸人としての失敗を意味しません。むしろ、一つの業界に人生を預けない合理的な選択ともいえます。

これは一般の会社員にも共通する問題です。終身雇用が当たり前ではなくなり、転職や副業が珍しくない時代、一つの肩書きに固執する必要はありません。

ただし、複業には時間や体力の制約があり、誰もが成功するとは限りません。重要なのは、仕事を一つに限定せず、自分に合った選択肢を持てることです。

テレビで見かけなくなったからといって、その人が仕事を失ったとは限りません。

川島さんは「元芸人」になったのではありません。芸人を続けながら、新しい仕事を見つけたのです。

お笑いのネタを披露していた芸人が、今度はすしのネタを握る。そこには、テレビの人気だけでは測れない、もう一つの成功の形があります。

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