国際通貨基金(IMF)が10月に公表した最新の世界経済見通しによると、日本の名目GDPは2027年にインドとイギリスに抜かれ、世界6位に転落する見通しとなった。
日本は2010年に中国に抜かれて世界3位となり、2023年にはドイツにも抜かれて4位に後退した。今度は一気に2カ国に抜かれるというのだ。
インドに抜かれるのは、ある意味で仕方がない。人口が14億人を超え、経済成長率も高い。しかし、衝撃的なのはイギリスにも抜かれることである。

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「英国病」が再発したイギリス経済
イギリスの人口は約6900万人と日本の6割にも満たない。しかも、イギリス経済は2008年の世界金融危機以来、慢性的な低成長に苦しんでいる。
かつてイギリスは1970年代に経済の長期停滞や労働争議、国際競争力の低下に苦しみ、「英国病」と呼ばれた。
1980年代にはサッチャー首相が国営企業の民営化や規制緩和を進め、経済の構造転換を実現した。しかし近年は、再び「新英国病」とも呼ばれる停滞に直面している。
実質賃金や生産性の伸びは鈍化し、住宅価格の高騰、公共サービスの劣化、医療制度NHSの診療待ちなど、社会問題も深刻である。
さらに2016年のEU離脱(ブレグジット)が経済停滞に拍車をかけた。英国の財政監視機関OBRは、EU離脱によって長期的な生産性が残留した場合より約4%低くなると推計している。
つまり、イギリスは決して経済の優等生ではない。それでも日本を追い抜こうとしているのだ。
人口6割のイギリスにGDPで抜かれる意味
IMFの推計では、2027年の名目GDPはインドが4兆5211億ドル、イギリスが4兆4889億ドル、日本が4兆4676億ドルとなる。
もっとも、これはドル換算の名目GDPである。円安が進めば日本のGDPは小さくなり、円高になれば大きくなる。日本とイギリスの差も約0.5%にすぎず、為替相場次第で順位は逆転する。
しかし、人口が日本の6割弱しかないイギリスと経済規模がほぼ同じという事実は重い。1人当たりGDPでは、イギリスが日本を大きく上回っているからだ。
日本はなぜ「英国病」の国にも負けるのか
最大の問題は、日本経済の成長力の低さである。
2000年から2025年までの実質経済成長率は年平均0.7%。イギリスの1.6%、ドイツの1.0%を下回る。
日本では長年、企業が賃上げや設備投資に慎重で、低収益企業が退出せず、労働力も生産性の低い分野に固定されてきた。
政府は補助金や財政支出によって経済を支えようとしてきた。しかし、政府が需要を作っても、それだけで生産性が高まるわけではない。むしろ補助金で低収益企業を延命させれば、成長産業への労働移動を妨げる。
世界6位転落より深刻な「日本病」
もちろん、GDPの世界順位に一喜一憂する必要はない。本当に重要なのは、1人当たりの生産性と実質所得が増えることである。
しかし、日本の場合はGDP総額だけでなく、1人当たりの所得でも主要先進国に後れを取っている。円安は輸入物価を押し上げ、家計の購買力を低下させる。
必要なのは補助金のばらまきではなく、労働市場改革や規制改革、企業の新陳代謝を促す政策である。
1970年代のイギリスは「英国病」に苦しんだが、サッチャー改革によって経済構造を大きく変えた。一方、日本はバブル崩壊から30年以上、抜本的な改革を先送りしてきた。
問題は日本が世界6位になることではない。世界6位への転落を「円安のせい」と説明し、成長できない経済構造を放置し続けることである。
日本が直面しているのは、もはや英国病より深刻な「日本病」なのかもしれない。







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