日本はロシアとどう付き合うか?:北海道新聞記者の拉致とQilin最重要メンバーの逮捕

私もいろいろな国を歩き、いろいろな国の人と話をしてきましたが、ロシアとロシア人はタフです。日本から見れば主要国の括りの中では最も付き合いにくい相手だと思います。

私の経営する東京の賃貸住宅にロシア人夫婦がコロナの頃、5年近く住んでいました。日本に行くたびにあいさつし、食事をしたりする関係で最後は「自分たちの家を購入したので引っ越します」と退去していきました。賃料もしっかり払い、良い夫婦だったのですが、実に笑わない人たちでありました。食事をしてもにこりともしない、だけど人間関係はしっかり築かれているそんな感じでした。

私が若い頃、ソ連に行ったこともがあり、私自身がロシア人に興味があったので一生懸命話題を振りながらその深層心理を推し計ったのですが、心の中身を掴むことがとても難しかったのは顔の表情がまるで能面で嬉しいのか、同意しているのか、心の底が全く読めないこともあったのでしょう。

北海道新聞の記者がロシア政府に拉致され、日ロ間の交渉が全く進展していません。本来両国間で合意している領事による記者との面会すら許可されていません。在日本ロシア大使館は頑なな態度で私から見れば「拒絶」であります。17日放送の「正義のミカタ」で元外交官の山上信吾氏が「領事面会が出来ている」と述べたのは間違いで、領事は記者が拘束されているところに行き、1時間粘ったものの会えなかったのが事実。山上氏はロシア大使は私の後輩なんて威張っていましたが、この発言は失敗でした。

なぜ記者が拉致されたかですが、以前お伝えしたようにロシアのゲームだと思っています。ただ、ゲームを吹っ掛けてきた理由が分からないのです。記者の「スパイ行為」とされます。それが事実だとすれば、そんなのを依頼するのは日本の公安調査庁しかないと思いますが、それは私の勝手な推測でしかありませんし、本当に外部から要請されてスパイ行為をしていたのかもわかりません。ただロシアの公安、FSBの捜査能力は高いですから些細なことでも何か疑わしき行為があり、それを利用して日本政府に揺さぶりをかけたとしか思えません。

拘束された直後の北海道新聞記者 タス通信より

ではロシアは何を望んでいるのでしょうか?私の限られた情報からすると、先般大阪で逮捕されたロシアのハッカー集団、Qilin(キリン)の最重要メンバーの釈放ではないかとみています。この男は日本でハッカーとしてアサヒビールなど少なくとも53件のハッキングをしています。それを日本の警察が捕まえたのは大変な快挙ですが、ロシアにとってこの男は単なるハッカー以上の大物であった可能性があるのです。

問題はこのロシア人を既にドイツ警察に送っているため、日本、ドイツ、ロシアの三国間ディールを要求してくる気がします。そうだとすれば非常に高度な外交になります。

個別案件はともかく、大局的に見て、ロシアは日本をどう見ているのでしょうか?一言でいうと分厚い壁があり断絶されていると言ってよいと思います。ではロシアは誰と仲が良いのか、といえば誰もいないと言ってよいと思います。中国は?と聞かれれば表面的な付き合いで利用価値があるから双方がつながっているだけと申し上げます。ロシアと北朝鮮との関係も金正恩氏の心の隙間をついてうまく出し抜いたと言ってよいでしょう。

一方、貿易で稼がねばならないので商社などを通じたビジネスはやります。ただし、北方領土を含む政治的な問題は基本的に解決する気がありません。もちろんプーチン氏の性格がロシア人の性格を煎じ詰めて濃度を最高に引き上げたような人なので極端ではありますが、将来出てくるであろう次の国家元首も同じような性格である可能性は高いと思います。特に日本は喧嘩を売ってこないのでやりやすい相手だともいえます。

ロシア人の性格の一つに粘り強さがあります。美的に言えば「最後まであきらめない」です。この典型が第二次世界大戦でドイツ軍がモスクワ郊外まで迫ってきていよいよモスクワ陥落かというところで押し返したあの粘りがあげられます。ロシア人の性格は寒冷地で我慢を強いられる生活が身についていているので多少の困苦は忍耐強くやり過ごすことができます。

昔、社会学の設問で「ロシア人と東南アジア人はどちらが働くか」という話があり、答えはロシア人でした。理由は東南アジアなら果実の木の下で寝転んでいれば上から果実が落ちてくるが、ロシアでは自ら働かない限り凍死するのを体得しているという話でした。まぁ、半分真実、半分作り話ですが、言わんとする意味はお分かりいただけると思います。

あの安倍氏はプーチン氏と32回会っているのです。それでもプーチン氏の心を1ミリとも動かすことが出来なかったのです。日本がどれだけ正攻法でアプローチしても難しい相手です。ロシアにしろ中国にしろ日本の足元を見ていると言ってよいでしょう。それにどう対抗すべきか、単にやかんが沸くようなそんな単刀直入な対応では全く太刀打ちできない相手であることは事実です。全く違った切り口でアプローチするしかないのです。

日本の外交は誰に対しても同じ温度で正面突破型だから難しいとは思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年10月19日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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