人手不足、ならばどうする?:G7で最低の日本の労働生産性

私の会社の運営は現場を別にすると私と私の片腕の2人で運営しています。かつては忙しすぎて悲鳴をあげ、もう一人雇いたいと何度も思ったのですが、なんとなく歯を食いしばっているうちに喉元を過ぎ、AIなり業務効率化で以前と比べて作業時間が大きく短縮して、いまでは「二人で十分」であります。

介護の事業も現場を別にすると社長がいて私ともう一人がバックに入ってどうにか廻っています。こちらの事業はもっと伸び代があるので人がいれば様相は変わるのかもしれませんが、様相を変えるだけの人材がいないことも事実であります。

週末に参加したイベント出店。50店ぐらい出店しているのですが、毎度おなじみの顔ぶれで一種の商店街のようなもの。「やぁどうもでーす!」とあいさつを交わし、皆、淡淡と出店準備をしてイベントが始まれば客商売に徹します。そんな中でいつも手伝いの人をたくさん連れてくるある店のオーナーがぽつねんと一人で売り子をしています。「あれ、どうしたんですか?」と声をかければ「誰も集まらなかった」と。もう1つのよく知る飲食店も一人しかおらず、聞けば同じ理由。ただ、どう見ても「集まらなかった」ではなくて「集めなかった」ような気配がありました。

イベント出店の場合、損益の計算はとてもシンプルで

(売上)ー(仕入れコスト)ー(出店手数料)ー(当日の人件費)=儲け

であります。この中で出店手数料は皆、変わらないので多くの店主は出店手数料がカバーできるにはいくら売り上げなくてはいけないという計算をしています。その計算をすると個人事業主なら必ず気がつくことがあります。「アルバイトなんて雇っていられない!」であります。個人事業主の取り分を減らしてまでもアルバイトを雇う理由を見つけられない、だから人を集めなかったという流れになるのです。

このイベントの場合は2日間で数千人が来場するのですが、カナダ人の財布は鍵がかかっていてなかなか開かないので日本やアメリカで想像するような売り上げは期待できないのです。となると人手を増やすのは困難になり、やむを得ぬワンマンオペレーションの選択肢になるのです。

では働きたい側からすればどうかと言えば仕事が見つかりにくい状況は相変わらずです。そして感覚的には仕事に就くにはますますハードルが上がってきたとみています。例えばAIで代替できるような職種の場合、人間とAI、どっちに頼るか、という話で人間が今までカバーしてきた分野はなんだかんだ言いながらも変質化しています。それが狭まっているか、単に形を変えているだけかは現時点では判断できませんが、若者たちが大好きなタイパ、コスパが現実社会で起きると自分で自分の首を絞める形になっているとも言えます。

ご存じの通り日本の労働生産性は2024年時点でG7で最低、OECDでは38か国中28位です。以前、日本人は労働に対して熱心ではないという統計があることもご紹介したと思います。この2つを掛け合わせると雇われていることで受動的業務しかできない方が多すぎて「手待ち」「指示待ち」が生じて業務効率が悪いケースが相当あるのだとみています。

maroke/iStock

例えば上述のイベント出店の場合、アルバイトを雇ったとしても客に英語でセールス攻勢できないし、質問にも答えられないのがほとんど。売り手と買い手はテンポよくビジネスを成立させるという原則に立てば事業主から見れば「それなら自分でやる!」になってしまうのです。

多くの日本の会社で見られるのが社長なり部門長がスタッフに朝礼や会議を通じて今日はこれをやるようにとか、個人目標を設定し管理者がその達成をつぶさにチェックしたりすることでしょうか?これが海外では少ないのです。仕事をやらない人や成果が上がらない人はクビを切られるだけですから。つまり従業員は自主性や能力を会社に対して貢献できるのか、あるいは日本の会社のように「個性は出さないでください。決められたマニュアル通りに進めてください」と制御型の労働力提供に近い使い方にするかでやる気もコスパもタイパも全然変わってくると思うのです。

日本は人手不足の倒産が増えていると言います。私が想像するにその一定数は「嫌な使用人がいる」であります。人手不足の会社ほど人の使い方が荒かったり、自分のやり方に固執して微塵たりともそこから外れさせないために余計に嫌な奴を演じる結果となり、「こんな思いして働きたくない」という方が多くなるでしょう。私に言わせればその人の使い方は本当に正しかったのか、と言いたいのです。

現代っ子の心はとても繊細で柔らかいのに昭和型のスパルタをやると一発で「私、辞めます」になります。ならば経営者は自分を変えるか、さもなければ自分で全部できるビジネスモデルに変えるしかないと思います。飲食店経営は手掛けやすいのですが、労働集約業務であり、実は一番苦労が多いのだろうな、と思ったりするのです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年10月21日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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