西山朋佳女流四冠が女性初の「棋士」へ:歴史的快挙と「女子枠」批判

将棋の西山朋佳女流四冠が10月26日、将棋会館で記者会見を開き、棋士編入の権利を行使することを表明しました。これにより日本将棋連盟創立以来約100年の歴史で、初めて女性の「棋士」(四段以上の性別を問わないプロ)が誕生します。朝日新聞

西山さんの記者会見(スポニチ)

女流棋士としては史上最高の実績

西山さんは1995年生まれ、大阪府大阪狭山市出身。5歳で将棋を始め、14歳で棋士養成機関「奨励会」に入会。三段まで昇段しましたが、難関の三段リーグを突破できず2021年に退会し、女流棋士に転向。その後、女流タイトルを次々と獲得し通算24期(歴代3位)を記録しました。

棋士との公式戦でも好成績を残し、編入試験(若手棋士5人との五番勝負)にも挑戦しましたが、惜しくも2勝3敗で不合格に終わりました。奨励会時代には藤井聡太にも勝利した経験があるなど、女流トップとして「剛腕」の異名を持つ実力者です。

従来、棋士になるルートは主に①奨励会三段リーグ突破、②棋士編入試験合格の2つ。どちらも男女問わず門戸が開かれていますが、女性が突破した例はありません。女流棋士制度自体は1974年に始まっています。

「もっと強い方と戦いたい」

2025年6月の日本将棋連盟通常総会で、「女流最高位の白玲を通算5期獲得した者にフリークラス棋士の資格を与える」新規定が賛成多数で可決されました。女流棋士全体のレベル向上を背景に、最高峰タイトルを複数期保持すれば棋士としての実力は担保できるという判断です。

西山さんは10月10日、金沢市で行われた第6期白玲戦七番勝負第5局で福間香奈女流四冠に勝利し、4勝1敗で防衛。通算5期達成で「クイーン白玲」となり、新制度の適用第1号として資格を得た。権利行使は2週間以内が条件だったため、熟考の末に決断しました。

会見で西山さんは「私の中に最後に残ったのは、もっと強い方と戦いたい、これからもっと上を目指す戦いをしてみたいという気持ちでした。その気持ちを大事にしたい」と語りました。女流棋戦も継続し、女流タイトル戦を「緊張感をもって臨める研鑽の場」と位置づけています。

「女子枠」と批判の声も

この新規定は「女流棋戦のみの実績で棋士になれる」点で、制度導入時から賛否が分かれていました。資格が女性限定のタイトル(白玲)に紐づいているため、「性別による優遇」「女子枠」との批判があります。

SNSでは「西山さんは応援するが女子枠には反対」という意見が目立ちます。「正式の棋士として戦うなら女流のタイトルは捨てるべきだ」というきびしい批判もあります。

支持する側は「西山さんは奨励会三段・編入試験で惜敗した実力者で、棋力の担保は取れている」と評価しています。産経新聞社説は「歴史を変える快挙に拍手を送りたい」としつつ、批判があることを認めながら本人の挑戦心を評価しています。

男性と同じスタートラインに立っただけ

西山さん本人は周囲の後押しに感謝を示しつつ、「自分の気持ちを中心に検討した」と述べ、批判を直接意識したわけではない姿勢を示しました。師匠の伊藤博文七段も「長年の夢が叶った」と祝福しています。

西山さんは2027年4月から、フリークラス四段となります。順位戦参加資格はありませんが、7つのタイトル戦などの公式戦に出場可能。10年以内に所定成績を挙げなければ引退となるきびしい条件があります。

西山さんは男性と同じスタートラインに立っただけで、今後は「女子枠」の特別扱いはありません。対局数増加に伴う日程調整や、女流棋戦との両立も課題ですが、彼女が実力を発揮すれば、それに続いて将棋を志す女性も増えるかもしれません。

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