GMOを襲うハッカーは「金より恨み」か:身代金98%値引きの謎と異例の「劇場型犯罪」

GMOインターネットグループがサイバー攻撃を受けた問題で、10月27日、攻撃者とみられる人物が顧客1人の個人情報と称するデータを公開した。攻撃者側は今後も情報を順次公開すると予告しており、事件は異例の「劇場型犯罪」の様相を呈している。

身代金80億円から1億6000万円に大幅減額

FXの自動売買などに利用される「お名前.com デスクトップクラウド」が攻撃を受け、攻撃者側は当初、5000万ドル(約79億円)を要求していたが、なぜかその後100万ドル(約1億6000万円)へと50分の1に減額した。この異例の減額に対して、様々な見方がなされている。

GMOの熊谷正寿会長兼社長はこの要求を拒否し、個人情報が公開されたユーザーに、ユーザー全員に支払う5000円の見舞金とは別に、最大300万円の特別見舞金を支払うとした。

このため、27日正午すぎ、攻撃者側は氏名や住所、ウェブサイトの閲覧履歴などを含むとされる個人情報を公開した。しかし、公開された情報に記載された氏名などが自身のものと一致する人物は、「書かれていることはほとんどでたらめ」と否定し、GMOのクラウドサービスについても「一度も利用したことがない」と話している。

プロの犯罪集団ではない? 狙いはGMOへの恨みか

今回の攻撃には、通常の金銭目的のサイバー犯罪とは異なる特徴がある。

セキュリティー会社S&Jの関係者からは、攻撃者の声明が詳細であることなどを理由に、プロの犯罪グループによる犯行ではないとの見方も出ている。

身代金の大幅な減額に加え、脅迫文を一般のウェブサイトに掲載している点も異例だ。匿名性の高いダークウェブではなく、拡散されやすい場所で情報を公開する行為は、金銭の獲得よりGMOの信用失墜を狙っている可能性をうかがわせる。

ネット上では「捨て身の攻撃ではないか」との声もある。ただし、攻撃者の動機は判明しておらず、金銭目的を否定することもできない。

熊谷社長の情報発信にも批判

熊谷正寿会長兼社長のXでの発信も議論を呼んでいる。

熊谷氏の投稿が公開された顧客情報の信憑性を高め、子供に関する情報にまで注目を集めかねないとの批判が出ている。攻撃者側の情報の真偽を慎重に扱うべき局面だけに、経営トップの発信内容にも配慮が求められることがわかっていないようだ。

最優先すべきは顧客の保護

GMOは利用者全員への5000円の見舞金と、不正取引による損失の補償方針を発表している。

一方、熊谷氏は社内の技術者から事前にセキュリティー上の改善課題を指摘されていたことも認めた。

仮に攻撃者の目的がGMOへの恨みや信用失墜だったとしても、最大の被害者は個人情報を公開される利用者だ。GMOには身代金への対応だけでなく、顧客保護と情報管理責任の徹底が求められる。

GMO熊谷社長兼会長Xより

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