本日10月29日午前、自民党の鈴木幹事長、日本維新の会の柴田幹事長、国民民主党の榛葉幹事長の3人が、衆議院選挙制度の見直しに関する合意文書に署名しました。

衆議院選挙制度の見直しについて合意した自維国 国民民主党HPより
この3党が揃えば衆参ともに過半数です。合意文書には「今国会に法案を共同提出し、成立を期す」と明記されていますから、署名を反故にするようなことがなければ、12月までの今国会で成立することがほぼ確実になりました。
「ピクリとも動かないのではないか」と言われていた衆議院の定数削減です。目標としていた1割(45)には届かず、吉村代表は「公約達成率は70%、残りは力不足」と率直に語っています。
それでも31という数字は戦後最大の削減幅です。大きな前進だと思います。
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なぜ動いたのか。
もともと定数削減は、どの世論調査でも賛成が多数でした。
民主党政権時代の野田佳彦総理も大幅削減を掲げていましたし、国民民主党の玉木代表も「削減自体には反対していない。人口減少など何らかの理屈が要る」という立場を繰り返していました。方向性に反対している政党は、そもそも少なかったのです。
そこに強烈な追い風を吹かせたのが、中道改革連合の分裂劇でした(と私は思います)。
公明党と立憲民主党が衆院選直前に合流し、統一名簿で多くの比例当選者を出した。ところが半年ほどで分裂し、公明系は公明党に戻り、立憲系は「民主改革の会」を結成する。
そして中道改革連合には議員1人だけを残し、10月20日には約5.8億円の政党交付金を受け取りました。
中道側の言い分は「衆院選の未払い経費の清算に充てる。余剰が出れば国庫に返納する」というものです。違法ではありません。
ただ、比例で選ばれた議員の所属先が選挙後に組み替えられ、交付金は選挙時の看板に入り続ける。
この構造そのものに有権者の納得感がないのは明らかでした。「こんな制度はおかしい」「議員は減らすべきだ」という空気が一気に強まったことが、今回の追い風・合意の背景の一つにあったのではないかと感じています。
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さて、ここからが本題です。合意文書は8項目に分かれており、一つ一つ私なりに解説を加えてみたいと思います。
1. 比例代表の議席配分をドント式から修正サンラグ式に変更する
ドント式は各党の得票を1、2、3……で割って、商の大きい順に議席を配る方式で、大政党に有利とされてきました。
サンラグ式は除数が1、3、5、7……となり、中小政党に議席が回りやすくなります。さらに「修正」サンラグ式は最初の除数を1.4にして、泡沫政党が乱立しすぎないよう調整したものです。
比例を31削るのなら、その痛みが中小政党に集中しないようにしてほしい。この配慮が1項目目に書かれています。
なお、この方式はもともとチームみらいが提案し、8月の座長案に盛り込まれていた経緯があります。
2. 比例の中国ブロックと四国ブロックを統合する
人口減少で、両ブロックを単独で維持するのが難しくなっています。定数削減とは別に、いずれやらなければならなかったことだと思います。
3. 比例復活の当選基準を有効投票総数の10分の1から6分の1に引き上げる
現行では、小選挙区で10%取っていれば(供託金没収を免れれば)比例復活の資格があります。
トップにトリプルスコアで負けた3位、4位の候補が、党内の惜敗率次第でバッジをつける。これが地域代表として正しいのか?というのは以前からあった論点です。
少なくとも16%程度は取ってください、という線引きになります。
4. 比例で各党の当選者が不足した場合は欠員とし、供託金の没収点を引き下げる
今年の衆院選では、名簿登載者が足りず、本来ある政党に行くはずの議席が他党に回る事態が起きました。自民党に投じた一票が別の党の議席になる。
これは有権者から見て明らかにおかしい。今後は潔く欠員にしましょう、と。
その代わり、万一に備えて名簿に多くの候補を載せやすいよう、供託金の没収ラインは緩めるという、セットの合意になっています。
5. 比例代表で統一名簿を可能にする
これは地味に大きい項目です。現行では別政党のまま比例名簿を一つにはできないので、一緒に戦うなら合併するしかなかった。中道改革連合はそうして生まれたわけです。
統一名簿が認められれば、小選挙区は別々、比例は一つの名簿、という選挙協力ができるようになります。かつて小沢一郎氏が唱えた「オリーブの木」構想に近い仕組みです。
国民民主党がこの項目を強く求めたと報じられています。何を狙っての要望なのかは、今後のアクションに注視したいところです。
6. 比例選出議員が所属政党を離れて別の政党に移る場合の、政党交付金の取り扱いを検討する
まさに中道改革連合のケースです。ただ現時点では「検討する」であって、減額や返還とまでは書かれていません。
どこまで踏み込めるかは今後の立法作業次第ですが、多くの国民が感じている疑問が合意文書に載った意味は小さくありません。
7. 衆議院の議員定数を31削減する
2015年を起点に2030年の人口推計を見ると、約6.7%の減少になる。これを定数465に当てはめると31。
1割という「決め」の数字ではなく、人口減少という数値に基づいた折衷案に落ち着いたというところでしょうか。
維新としては100%の本意ではありませんが、これだけの議員定数が削減できたことは大きな前進と言えるのではないでしょうか。
8. 削減は比例代表で行う
こちらは読んで字のごとく。削減されるのは小選挙区ではなく、比例の31削減です。
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以上が合意の全体像です。今国会最大の懸案だった定数削減に、これで道筋がつきました。
そしてもう一つ、国民民主党が賛成に回ったことで、消費税の減税法案など国会後半戦の見通しも大きく変わってくるかもしれません。
このあたりはまた改めて、後日に筆をとりたいと思います。
編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2026年10月29日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。







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